19532696-00.JPG 新書版なので簡単に読むことができます。広瀬隆氏の『赤い楯』や『ロマノフ家の黄金』を読むには、分厚いのでかなりの忍耐が必要ですが、こちらは新書版ですので、手っ取り早くロスチャイルド家のことを知る上ではいいかもしれません。また、ユダヤ人金融財閥を扱った本には怪しげな本も多いように思いますが、これはそんな心配もいらないと思います。比較的新しい1990年代のロスチャイルド家のことも、少し触れられているので、これも有益かもしれません。

講談社現代新書 1252
著者/訳者名 横山三四郎/著
出版社名 講談社
(ISBN:4-06-149252-7)
発行年月 1995年05月
サイズ 206P 18cm
価格  735円(税込)

本の内容
紋章に刻まれた言葉は協調・完全・勤勉。家訓は「語るなかれ」。徹底した秘密保持と、一族の結束と連係で国際金融を制覇し、今なお世界を牛耳る巨大財閥の実像を描く。

目  次
第1章 歴史を彩る
第2章 金融王国への階段(19世紀)
第3章 不死鳥の世界財閥(20世紀)
第4章 受難のパワー
第5章 日本とロスチャイルド家

 『蟹工船』は、文学史に出てくるから、受験勉強をまともにした人は名前ぐらいは知っているだろう。プロレタリアという言葉自体は、全く知らないか、懐かしい響きとして聞き知っているか、実際使ったことがあるか、人それぞれだろう。60年や70年安保を経験している人達の中で、インテリといわれる人達は盛んに使っていた。そもそもフランス語なのだ。ドイツ語で言うとプロレタリアートになる。

 現代の若者が(老人もだが)全く未来に希望がもてない時代に突入して、もう久しいが、その時代の雰囲気が蔓延し、その雰囲気にぴったりの小説が再発見されたということなのか。私は、一度も『蟹工船』を読んだことがない。何か重苦しい気分になってきた。

 そういえば、『プロレタリア文学はものすごい』荒俣宏/著 平凡社新書 を買って(2000年11月)まだ一度も読んでいないことに気がついた。
プロレタリア文学:名作『蟹工船』異例の売れ行き – 毎日jp(毎日新聞)

プロレタリア文学:名作『蟹工船』異例の売れ行き
 ◇高橋源一郎さん雨宮処凛さんの本紙対談きっかけに

 日本のプロレタリア文学を代表する作家、小林多喜二(1903~33年)の『蟹工船(かにこうせん)・党生活者』(新潮文庫)が、今のワーキングプア問題と絡んで異例の売れ行きを示している。今年、すでに例年の5倍を超す2万7000部を増刷した。格差社会の現実を映したような現象が、関係者の注目を集めている。【鈴木英生】

 きっかけは、今年1月9日に毎日新聞東京本社版朝刊文化面に掲載された作家の高橋源一郎さん=と雨宮処凛(かりん)さん=の対談。2人は「現代日本で多くの若者たちの置かれている状況が『蟹工船』の世界に通じている」と指摘。それを読んだ元フリーターの書店員が、ブームに火を付けた。

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32057265.JPG著者/訳者名 大沢武男/著
出版社名 講談社
(ISBN:978-4-06-287937-8)
発行年月 2008年04月
サイズ 209P 18cm
価格  735円(税込)

 ワイマール憲法ということは、世界史その他で習うが、実際そのワイマール憲法下のドイツとはどんな時代だったのか? ということは、日本人の大多数はほとんど知らないのではないだろうか。どのような時代かを知るにはコンパクトにまとまっている本書で知ることができます。そして、ドイツでのユダヤ人というものがどういうものだったかを知る上でもよい本だと思います。更に、民主的な憲法といわれているワイマール憲法下でナチスが台頭してくることも忘れてはならない。このことも手短に知ることができる良書だと思います。

本の内容
第一次大戦後の窮状にあえぐドイツに成立したワイマール共和国。そこには、不安定な社会情勢下、孤独と不安にさいなまれつつも「共生」の理想を掲げ苦闘したユダヤ人の姿があった。革命家ローザ・ルクセンブルク、憲法を起草したプロイス、バイエルン王国を倒したアイスナー、外務大臣ラーテナウ、法務大臣ランズベルク、カフカやヴァッサーマンなどの作家、フロイトら学界の重鎮、そしてアインシュタインをはじめとする数多のノーベル賞受賞者―。「ユダヤ人絶滅」前夜に咲き誇ったユダヤの栄光と、時代の激流の中で彼らが感じ、考え、めざしたものとは何か。

目  次
第1章 前史ユダヤ人の解放と諸問題(問題としての「ユダヤ人」
フランス革命前夜 ほか)
第2章 ワイマール初期とユダヤ人の政治活動(バイエルン王国を倒したクルト・アイスナー
東欧からの革命家ローザ・ルクセンブルクなど ほか)
第3章 ユダヤ人のワイマール文化(経済界のユダヤ人エリート
アルベルト・アインシュタイン ほか)
第4章 夢から現実、孤立から破滅へ(世界のユダヤ人をリードしたドイツ・ユダヤ人
同化、共生への夢と現実 ほか)

著者情報
大澤 武男(オオサワ タケオ)
1942年埼玉県本庄市生まれ。上智大学文学部史学科卒。同大学院修士課程修了、ドイツ政府給費留学生、1980年ヴュルツブルク大学博士号取得。専攻はドイツ・ユダヤ人史、古代教会史。現在、フランクフルト日本人国際学校理事

32042284.JPG アメリカの外交を考える上でアメリカの世界戦略を考えないと何もわからない。そういう意味で、素人には一度は読んでおきたい標準教科書のように感じた。コンパクトにまとまっていてよいと思いました。この本を読んだ上で、もっと知りたい場合は専門書をあたればよい。日米関係一つとっても、その時代時代でアメリカは彼らの戦略を練っている。それを分析しないことには始まらないわけだが、いつも同じ日米関係のように素人には思われるが、その都度いろいろ微妙な揺らぎがあることをこの本を読んで少しは理解できたように思う。素人でも、深く考えるにはこの本に書かれているような内容を吟味検討した上で、自分なりに日米関係を考えなければならないと思うようになった。

 一昔前のクリントン前大統領のことを思い出そうとしても、彼の女性スキャンダルのことしか思い浮かばない。日本政府に対して厳しい要求を突きつけてくるな、とのうろ覚えの記憶しかない。どの様なものだったのかあらためてこの本で勉強した思いだ。テレビ報道ばかりしか見ていないと、このようなお粗末な記憶しか素人・庶民には残らないものだ。テレビとは、人間にものを考えなくさせるものだということを思い知った。

 ポール・ウォルフォウィッツのことが頻繁に出てきて興味深かった。ネオコンの一味だ。最近では、自分の彼女にそのポスト以上の給与を与えるように裏工作していたことが暴露されて恥をかいた男だ。この男が、どのようにしてイラクの前フセイン大統領の体制を転覆していく工作を練っていたかが明らかにされている。

 最近、「帝国」ということを扱った本や論文が目につくことが多いが、この本でも第四部では「帝国化するアメリカ」ということで論じられている。「帝国主義者」などという言葉は久しく聞くことがなくなっているが、あらためて「帝国」が問題化するのであるから「帝国主義者」も使われてくるのかもしれない。この世紀にとっての「帝国主義者」は、アメリカのネオコンがそれに該当するのかもしれない。チェイニーやウォルフォウィッツは、その代表格か。ブッシュは「帝国主義者」の操り人形か。
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31743833.JPG文春新書 519
著者/訳者名 内田樹/著
出版社名 文芸春秋
(ISBN:4-16-660519-4)
発行年月 2006年07月
サイズ 241P 18cm
価格  788円(税込)

「終章 終わらない反ユダヤ主義」がおもしろかった。特に、終わりにかかってレビナスについての引用が、非常に興味を惹いた。難解なレビナス思想を理解するには難渋するだろうと思って遠ざかっていたが、レビナスを勉強しなければユダヤ文化や神について高等な議論は理解できないとも思った。私の神についての理解は、幼児のそれに等しかった! そもそも、神について考えるのも嫌悪していたのだが、「そうでもないな」と思わせただけ、この本は「すごい」とも思った。広瀬隆氏の著作とは全く違ったアプローチでのユダヤ文化の理解もあるな、とふと思った。

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P1030255-1.jpg この分厚(約400頁)い本を読んだ。「ロマノフ家」と題名に書かれているが、20世紀の歴史を広瀬流にアレンジした書物として書かれていると考えればよい。もちろん、本書にはロスチャイルド家や家系図がふんだんに登場して広瀬節の筆が絶好調に流れていく。私は、ここに一回読んだきりだから、詳細な検討はまだしていないし、そう簡単にできるものでもない。まずは、大河小説を読んでいる感覚で一気に読み終えたという段階だ。本書には、1963年のケネディー暗殺事件なども出てきて興味は尽きない話題がふんだんに詰め込まれている。マフィアというのは、イタリア系マフィアを思い描いてしまうが、そのようにしむけたのがハリウッドだったということが書かれているが、本筋のマフィアは別にちゃんと存在しているということも、本書を読むまで知らなかった。情報操作をされていることだ、ということを知るべきだと思った! ソ連が崩壊して新生ロシアが誕生して間もない頃に出版された本書だが、その後プーチンが現れ、現代ロシアは激動の最中だ。そのことを加味して読むと、更に本書はおもしろく知的な興味が更にわいてくるというものだ。

 広瀬隆氏の本には、クラシック音楽のこともふんだんに出てくるのであるが、本書にもその法則に違わずロシア音楽のことが出てきて、その意味でも興味が尽きない。

著者/訳者名 広瀬隆/著
出版社名 ダイヤモンド社
(ISBN:4-478-17028-2)
発行年月 1993年03月
サイズ 382,22P 22
価格  2,548円(税込)

プロコフィエフ-ショスタコーヴィッチ交響曲第5番← 本を読んでいた時に聴いていた曲です。だいたいこんな感じの曲を聴きながら読書をしていました。

31960546-1.JPG著者/訳者名 内田樹/著
出版社名 アルテスパブリッシング
(ISBN:978-4-903951-00-3)
発行年月 2007年10月
サイズ 253P 19cm
価格 1,680円(税込)

 村上春樹の熱心な読者じゃない私が、ウチダ・センセの本だからと言うことで読んでいます。なかなか面白い。軽い本のようでいて、内容は濃いように感じるのは私だけではないと思いますが。ウチダ・センセの本で、記憶に新しい本では『9条どうでしょう』毎日新聞社 (ISBN:4-620-31760-8) がありますが、その本もおもしろかった。
 読み終わって「センチネル(歩哨)」という言葉が、心の隅に残った。

本の内容
ベストセラー『下流志向』の内田樹が満を持してお届けする、だれにも書けなかった画期的な村上春樹論!
村上春樹はなぜ世界中で読まれているのか? ウチダ教授が解き明かすハルキ文学の秘密

目  次
ノーベル文学賞受賞のヴァーチャル祝辞
村上訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読む
ハルキ・ムラカミが世界中で読まれているわけ
倍音的エクリチュール
三大港町作家
冬ソナと村上春樹
太宰治と村上春樹
村上春樹恐怖症
村上春樹とハードボイルド・イーヴル・ランド

WordPress標準ガイドブック 最近、昨日ですが、遅ればせながら『WordPress標準ガイドブック』マクラッケン直子/著 毎日コミュニケーションズ刊を買いました。今までは、公立図書館にある WordPress 関連の本を借りて勉強していましたが、WordPress 関連の本を一冊も持っていなかったので不便でした。それで、基本文献を買ったわけです。これで、私のブログも更なる改良が進む?ものでしょう。

本の内容
WordPressは特別な知識を必要とせずに、インストールから各種設定、サイトの公開までを簡単に行うことはできますが、一からテーマをデザインしたり、独自の拡張を施すには初心者ではなかなか難しいところがあります。本書では、このテーマのアレンジや作成、機能の拡張に重点を置いてWordPressの楽しみ方を案内させていただいております。もちろんはじめてWordPressに接する方も、基本から1つずつステップアップできる内容になっていますのでご安心ください。

目  次
1 いま、WordPressがおもしろい
2 WordPressでサイトを作ってみよう
3 「テーマ」方式で簡単カスタマイズ
4 テーマ作り解説完全版
5 「これだけは押えておきたい」カスタマイズ集
6 プラグインで機能拡張
付録

31960713.JPG アーサー・ビナードのことを知ったのは、NHKのなにかの番組だった。ずっと気になっていたが、今回彼の詩集『左右の安全』(集英社刊)を手に入れたので少しずつ読んでいます。
本の内容

月もたまに、道に迷ってみたいと思う。『釣り上げては』『日本語ぽこりぽこり』の著者による、待望の新詩集。

目  次

手紙
動物園が閉まるまで

グレードーム
懐具合
王子
意味
覚える森
鮭ブーツ
母校〔ほか〕

 「9・11と管理社会」という言葉と、「はじめに」を読んでおもしろそうなので読み始めています。一般に、思想書とか哲学書は、中身がないのに難解なのが読者を惹きつける要素がある。難解であるが故に読者が勘違いしてしまうのである。「これを読み通したら、何か新しい思想を身に付けることが出来るのではないか」と期待してしまう。しかし、学術専門書でないかぎり、これは間違っている。一般書であるにもかかわらず難解なのは、なにかトラップがあると考えた方が良さそうだ。読み通しても、読者には何も残らない場合が多い。むしろ、易しく書かれていて懇切丁寧な本の方が中身はあると、私は経験的に考えている。そういう意味で、この本書『ポストモダンの思想的根拠 9・11と管理社会』(ナカニシヤ出版刊)は、読む価値があるように感じて、いま読んでいます。

 「ポストモダンの第二段階の始まり」ということが、著者の言いたいことだろう。いろいろ論じられているが、それにいちいちコメントする知識も考えもないので、困るのだが、この本で書かれていることを更に深めるために、この本の中で挙げられている文献を読んでみたくなるようになってきつつある。特に、リチャード・ローティやスラヴォイ・ジジェクに関しては、原典にあたって勉強したくなる。
本の内容

9・11以後の世界は「自由」が「管理」を要請する逆説の時代―ポストモダンの第二段階の始まりだ!軽くてシニカルな「ポストモダン感覚」は、空気のように自明なものとなっている。ところが、「管理社会」は不可視であって、感覚的には理解するのが難しい。感覚的な「差異の戯れ」を容認しつつ、その上で効率的に管理するのがポストモダンの第二段階なのだ。そのため、「管理のポストモダン」を理解するには、感覚ではなく思想を武器としなければならない。

目  次

序章 ポストモダンの第二段階が始まる!
第1章 規律社会から管理社会へ
第2章 統制管理社会と自由管理社会
第3章 ポストモダンとリベラル・デモクラシー
第4章 ポストモダンはどこへ行くのか
終章 ポスト人間化する管理社会

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