ロスチャイルドといえば、広瀬隆氏の著作『赤い楯』の分厚い本を読んだことを思い出します。18世紀後半にドイツのゲットーからイギリス、イタリア、フランス、オーストリアにそれぞれ兄弟が進出してネットワークを作り金融業を中心に莫大な財産を築き、閨閥を通じて代々財産をふくらませていき、時の各国政府の財政をも管理しながら、政治情勢を巧に操りながら財産を増やしてもいった一族、というのが私の覚えている内容です。ひとたび戦争になったならば、敵・味方両方に軍資金を融資し、戦争がどちらに転んでも大もうけするようにするなど、非常にお金儲けが巧みな抜け目のない人達のようです。ワーテルローの闘いでは、株を売って戦況がイギリスに不利と見せかけた上で株を大量に買い戻し大もうけしたのもロスチャイルド!(ヨーロッパ中に張り巡らせた情報網を通じてイギリス勝利の情報を掴んでいた)

創業家以外から初のトップ=212年の歴史を転換-英ロスチャイルド(時事通信) – Yahoo!ニュース

2月10日22時44分配信 時事通信
 【ロンドン時事】英国を拠点にする世界的な金融グループ、ロスチャイルドは10日、統括持ち株会社の最高経営責任者(CEO)に、投資銀行部門の共同責任者を務めるナイジェル・ヒギンズ氏が3月1日付で就任すると発表した。212年に及ぶグループの歴史で、創業家一族以外からトップが選ばれるのは初めて。
 英国のロスチャイルドは、ドイツから移り住んだネイサン・ロスチャイルド氏が1798年に創業。繊維貿易から金融業に転じ、国際金融界を牛耳る存在に成長した。巨万の富を背景に、英政府が1875年にスエズ運河を一時買収した際に融資するなど、英国の近代史にも大きな影響を与えた。 

19532696-00.JPG 新書版なので簡単に読むことができます。広瀬隆氏の『赤い楯』や『ロマノフ家の黄金』を読むには、分厚いのでかなりの忍耐が必要ですが、こちらは新書版ですので、手っ取り早くロスチャイルド家のことを知る上ではいいかもしれません。また、ユダヤ人金融財閥を扱った本には怪しげな本も多いように思いますが、これはそんな心配もいらないと思います。比較的新しい1990年代のロスチャイルド家のことも、少し触れられているので、これも有益かもしれません。

講談社現代新書 1252
著者/訳者名 横山三四郎/著
出版社名 講談社
(ISBN:4-06-149252-7)
発行年月 1995年05月
サイズ 206P 18cm
価格  735円(税込)

本の内容
紋章に刻まれた言葉は協調・完全・勤勉。家訓は「語るなかれ」。徹底した秘密保持と、一族の結束と連係で国際金融を制覇し、今なお世界を牛耳る巨大財閥の実像を描く。

目  次
第1章 歴史を彩る
第2章 金融王国への階段(19世紀)
第3章 不死鳥の世界財閥(20世紀)
第4章 受難のパワー
第5章 日本とロスチャイルド家

32057265.JPG著者/訳者名 大沢武男/著
出版社名 講談社
(ISBN:978-4-06-287937-8)
発行年月 2008年04月
サイズ 209P 18cm
価格  735円(税込)

 ワイマール憲法ということは、世界史その他で習うが、実際そのワイマール憲法下のドイツとはどんな時代だったのか? ということは、日本人の大多数はほとんど知らないのではないだろうか。どのような時代かを知るにはコンパクトにまとまっている本書で知ることができます。そして、ドイツでのユダヤ人というものがどういうものだったかを知る上でもよい本だと思います。更に、民主的な憲法といわれているワイマール憲法下でナチスが台頭してくることも忘れてはならない。このことも手短に知ることができる良書だと思います。

本の内容
第一次大戦後の窮状にあえぐドイツに成立したワイマール共和国。そこには、不安定な社会情勢下、孤独と不安にさいなまれつつも「共生」の理想を掲げ苦闘したユダヤ人の姿があった。革命家ローザ・ルクセンブルク、憲法を起草したプロイス、バイエルン王国を倒したアイスナー、外務大臣ラーテナウ、法務大臣ランズベルク、カフカやヴァッサーマンなどの作家、フロイトら学界の重鎮、そしてアインシュタインをはじめとする数多のノーベル賞受賞者―。「ユダヤ人絶滅」前夜に咲き誇ったユダヤの栄光と、時代の激流の中で彼らが感じ、考え、めざしたものとは何か。

目  次
第1章 前史ユダヤ人の解放と諸問題(問題としての「ユダヤ人」
フランス革命前夜 ほか)
第2章 ワイマール初期とユダヤ人の政治活動(バイエルン王国を倒したクルト・アイスナー
東欧からの革命家ローザ・ルクセンブルクなど ほか)
第3章 ユダヤ人のワイマール文化(経済界のユダヤ人エリート
アルベルト・アインシュタイン ほか)
第4章 夢から現実、孤立から破滅へ(世界のユダヤ人をリードしたドイツ・ユダヤ人
同化、共生への夢と現実 ほか)

著者情報
大澤 武男(オオサワ タケオ)
1942年埼玉県本庄市生まれ。上智大学文学部史学科卒。同大学院修士課程修了、ドイツ政府給費留学生、1980年ヴュルツブルク大学博士号取得。専攻はドイツ・ユダヤ人史、古代教会史。現在、フランクフルト日本人国際学校理事

31743833.JPG文春新書 519
著者/訳者名 内田樹/著
出版社名 文芸春秋
(ISBN:4-16-660519-4)
発行年月 2006年07月
サイズ 241P 18cm
価格  788円(税込)

「終章 終わらない反ユダヤ主義」がおもしろかった。特に、終わりにかかってレビナスについての引用が、非常に興味を惹いた。難解なレビナス思想を理解するには難渋するだろうと思って遠ざかっていたが、レビナスを勉強しなければユダヤ文化や神について高等な議論は理解できないとも思った。私の神についての理解は、幼児のそれに等しかった! そもそも、神について考えるのも嫌悪していたのだが、「そうでもないな」と思わせただけ、この本は「すごい」とも思った。広瀬隆氏の著作とは全く違ったアプローチでのユダヤ文化の理解もあるな、とふと思った。

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P1030255-1.jpg この分厚(約400頁)い本を読んだ。「ロマノフ家」と題名に書かれているが、20世紀の歴史を広瀬流にアレンジした書物として書かれていると考えればよい。もちろん、本書にはロスチャイルド家や家系図がふんだんに登場して広瀬節の筆が絶好調に流れていく。私は、ここに一回読んだきりだから、詳細な検討はまだしていないし、そう簡単にできるものでもない。まずは、大河小説を読んでいる感覚で一気に読み終えたという段階だ。本書には、1963年のケネディー暗殺事件なども出てきて興味は尽きない話題がふんだんに詰め込まれている。マフィアというのは、イタリア系マフィアを思い描いてしまうが、そのようにしむけたのがハリウッドだったということが書かれているが、本筋のマフィアは別にちゃんと存在しているということも、本書を読むまで知らなかった。情報操作をされていることだ、ということを知るべきだと思った! ソ連が崩壊して新生ロシアが誕生して間もない頃に出版された本書だが、その後プーチンが現れ、現代ロシアは激動の最中だ。そのことを加味して読むと、更に本書はおもしろく知的な興味が更にわいてくるというものだ。

 広瀬隆氏の本には、クラシック音楽のこともふんだんに出てくるのであるが、本書にもその法則に違わずロシア音楽のことが出てきて、その意味でも興味が尽きない。

著者/訳者名 広瀬隆/著
出版社名 ダイヤモンド社
(ISBN:4-478-17028-2)
発行年月 1993年03月
サイズ 382,22P 22
価格  2,548円(税込)

プロコフィエフ-ショスタコーヴィッチ交響曲第5番← 本を読んでいた時に聴いていた曲です。だいたいこんな感じの曲を聴きながら読書をしていました。

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