「9・11と管理社会」という言葉と、「はじめに」を読んでおもしろそうなので読み始めています。一般に、思想書とか哲学書は、中身がないのに難解なのが読者を惹きつける要素がある。難解であるが故に読者が勘違いしてしまうのである。「これを読み通したら、何か新しい思想を身に付けることが出来るのではないか」と期待してしまう。しかし、学術専門書でないかぎり、これは間違っている。一般書であるにもかかわらず難解なのは、なにかトラップがあると考えた方が良さそうだ。読み通しても、読者には何も残らない場合が多い。むしろ、易しく書かれていて懇切丁寧な本の方が中身はあると、私は経験的に考えている。そういう意味で、この本書『ポストモダンの思想的根拠 9・11と管理社会』(ナカニシヤ出版刊)は、読む価値があるように感じて、いま読んでいます。

 「ポストモダンの第二段階の始まり」ということが、著者の言いたいことだろう。いろいろ論じられているが、それにいちいちコメントする知識も考えもないので、困るのだが、この本で書かれていることを更に深めるために、この本の中で挙げられている文献を読んでみたくなるようになってきつつある。特に、リチャード・ローティやスラヴォイ・ジジェクに関しては、原典にあたって勉強したくなる。
本の内容

9・11以後の世界は「自由」が「管理」を要請する逆説の時代―ポストモダンの第二段階の始まりだ!軽くてシニカルな「ポストモダン感覚」は、空気のように自明なものとなっている。ところが、「管理社会」は不可視であって、感覚的には理解するのが難しい。感覚的な「差異の戯れ」を容認しつつ、その上で効率的に管理するのがポストモダンの第二段階なのだ。そのため、「管理のポストモダン」を理解するには、感覚ではなく思想を武器としなければならない。

目  次

序章 ポストモダンの第二段階が始まる!
第1章 規律社会から管理社会へ
第2章 統制管理社会と自由管理社会
第3章 ポストモダンとリベラル・デモクラシー
第4章 ポストモダンはどこへ行くのか
終章 ポスト人間化する管理社会



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