32231686.JPG著者/訳者 ポ‐ル・クルーグマン/著 山形浩生/訳
出版社名 筑摩書房
発行年月 2009年04月
販売価格 1,365円

 最近、読書をしていなかったので、また再開しました。公立図書館へ行ってメディアワークス発行のハードカバー『クルーグマン教授の経済入門』を借りて読んでいます。読書感想文は後ほど書きます。

本の内容
経済にとってほんとうに大事な問題は何?実は、生産性、所得分配、失業の3つだけ。じゃあなぜ、貿易赤字やインフレ、はたまたグローバル金融市場の狂乱が問題視されるの? 経済の根っこにある問題は何かをきっちり解き、世間を騒がす財政赤字・貿易戦略・通貨政策などなどをじっくり検証する。これを読めばもう、巷に溢れるインチキ議論や報道に惑わされない!ノーベル賞経済学者クルーグマンによる、これ以上やさしくは書けない決定版経済テキストにして、読んで楽しいエンターテインメント教養書。
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 『現代社会主義を考える』(岩波新書)副題が―ロシア革命から21世紀へ―です。1988年の出版ですから、この本では「ベルリンの壁崩壊」や「ソ連邦の消滅」などは当然出てきません。著者は、専攻か「ソヴィェト政治史」ですから、私も歴史の本として読んでいます。というのも、社会主義の本を「今さら読む価値があるのか?」という疑問は、当然わたしの心の中にもわいてきます。従いまして、この本を歴史の本として取り上げるなら、当然読む価値を考えるまでもなくあるわけです。

 だが、同時に、歴史という観点だけでなく、革命を推進した人物、レーニン、スターリン、トロツキーなどの革命家の基本的な知識をふまえた上での確執にも興味があります。歴史上誰も成し遂げていなかったプロレタリア革命を推進した指導者としての確かさと限界を見極めることは、社会主義というものを現代的に捉え返す上でも必要なことです。

 「民主集中制」等の由来と意味などを真剣に論じたりすることは、例えば、日本で政権を執った民主党の政治を見ているにつけ、政党組織論という理論問題を考える上で参考になるものと考えます。民主党の政党組織論というものがあるのかも怪しいのですが、外部からながめていると、組織論以前の状態に見えてきます。きわめてお粗末のように見えます。また、「レーニン主義」と「スターリン主義」の違いを真剣に論じたりすることは、その当時何が問題でありその核心が何であったか理解する上で避けて通れない事柄です。

 E・H・カーやトイッチャーらロシア革命を扱った本をたくさん出している著者にも言及があって参考になりました。更に、カッシーラー(哲学者)等の学者の著作にも触れられて今後読んでみるべき文献の参考にもなります。政治史の専門家が書いたものですから、今日に至っても、新書という形式ですしわかりやすく解説されていて参考になります。

 公立図書館で最近購入された本を調べてみました。読んでみたい本をピックアップしてみました。

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著者/訳者名 ベンジャミン・フルフォード/著
出版社名 青春出版社 (ISBN:978-4-413-03698-6)
発行年月 2009年01月
サイズ 204P 20cm

 訳者が書かれていませんので、著者は日本語で執筆しているものと思われます。インターネットで調べてみましたが、たくさん本を出しています。そのたくさんの本の中の一冊『アメリカが隠し続ける金融危機の真実』を読んでみました。更に、気になって 古歩道ベンジャミン も読んでみました。

 第1章は、リーマン・ショック以来、これまで読んできた金融恐慌のいろいろな本のダイジェスト版のような感じで、コンパクトにまとまっているように思いました。リーマン・ショック以来明らかになった金融腐敗を知るにはいい本かもしれません。

 第3章。「外交問題評議会」などのシンクタンクなどは、田中宇や広瀬隆等も触れる。著者・ベンジャミン・フルフォードも触れている。彼らに共通しているのは、英語に堪能なことだ。英語に堪能なジャーナリストとしての「常識」として、民主主義の時代にあっても、むしろそういう時代だからこそ一部の人間がこの世の中、もっと的を絞れば、金融の世界では、それを動かす人々がいるということを指摘するわけだ。

 「アングロサクソンについていけば安心だ」と公言していた外交官(岡崎久彦)がいたが、この世界が今経験している世界恐慌を目の前にして、まだそういうことを公言できるのか? と考えてしまう。そのような人間達が日本を動かしてきた事実。そしてそれに従ってきたが故に日本がガタガタになってしまった事実。物事を浅いところでしか考えてこなかった指導者に率いられてきた日本。アメリカの「年次改革要望書」に従って規制緩和してきた結果、ガタガタになった日本。旧日本長期信用銀行が、アメリカの投資ファンド、リップルウッド(ティモシー・コリンズ)に買いたたかれる経緯が書かれていて、これを読んでみると、日本が如何にマヌケでお人好しなのかということがわかります。 Read the rest of this entry »

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著者/訳者名 広瀬隆/著
出版社名 集英社 (ISBN:978-4-08-720489-6)
発行年月 2009年04月
サイズ 238P 18cm
価格 756円(税込)

 今回の衆議院選挙で民主党が大勝し、国民新党と社民党との連立政権を組んで鳩山内閣が発足したのは、2009/09/16 でした。「金融 郵政改革」担当大臣に就任したのが亀井静香(72)です。彼は、もともとは自民党の代議士で、郵政民営化に反対だったので、小泉純一郎が仕組んだ4年前の郵政選挙によって自民党にいられなくなって飛び出し国民新党を結成した。その亀井氏が、今度は「金融 郵政改革」担当大臣に就任したのだから、その亀井氏の動向が注目されるわけでして、「小泉劇場」というか「政治の劇場」が続いているとも言えなくはないです。

 ところで、この郵政民営化というのは、実のところ日本国民には何もわかっていないのが実情ではないでしょうか。私も、よくわかっていませんでした。過疎地の郵便局がなくなる問題とか、身近な問題に惹きつけて考えていたりします。あるいは、郵政の職員が国家公務員の身分でいる必要があるのか、とか言われもしました。独立採算制で行っているのだから国家公務員の身分でいても何ら問題ない、と何かで読んだこともあります。結局、郵政民営化というのは、あるいは、郵政選挙とは何だったのかわからないまま、国民は踊りに踊ったわけです。

 この本を読むとわかりますが、郵政民営化というのは、アメリカの要求だったのです。アメリカが要求するというのは、何か裏があるのではないか、と考えねばならないでしょう。広瀬氏は「日本に眠っている郵貯という巨大な金融資産を市場に吐き出させ、アメリカのウォール街が自在に使えるようにするため」(p230)、思慮のない小泉元首相をたぶらかして行った、と主張します。

 金融危機(広瀬氏は、「金融腐敗」と呼べと言います)のまっただ中で、アメリカ政府は、巨額の財政赤字を抱えている中、世界各国、とりわけ日本と中国にアメリカ国債を買ってもらいたくて仕方がありません。郵政が民営化されていけば、やがて郵貯と簡保であわせて334兆円もの国民の資産がアメリカ国債やウォール街への投資としてアメリカに流れていくのではないでしょうか。財務大臣の藤井氏は、円高容認発言をしているようです。今のアメリカドルは、このままでは大暴落するのではないでしょうか。そうなると、国民の膨大な資産は紙くず同然と化します。

 この本を読むと、経済がグローバル化した国際金市場では、国際金融マフィアともいえるウォール街の連中の恐ろしい行動が、実体を動かしている人物とともに見えてきます。是非、一度は読んでおきたい本です。

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 政治家やエコノミストが「構造改革」という時、それは何を意味しているか理解している人はどのくらいいるのだろうか。そして「構造改革」をすることによって本当に日本経済がよくなるのかどうか、それも、どのくらいの人が理解しているのだろうか。専門家の人が「構造改革」を口にすることによって、庶民には理解できないものにしているように思えてくる。

 そもそも「構造改革論」とはどういうもので、そこにどのような問題がはらまれているのか、この本を読むことで少しはわかったような気持ちになりました。このような本をしっかり読んだ上で、政治家やエコノミストの「構造改革論」を批判的に見ていかねばならないのだろう。テレビに出てくるエコノミストがデタラメな意見を垂れ流している、というのが私の実感だが、これを見破るためにもしっかりした知識を身に付けたい。この本は、それに役立つだろう。

著者/訳者名 松原隆一郎/著
出版社名 日本放送出版協会 (ISBN:4-14-001963-8)
発行年月 2003年05月
サイズ 252P 19cm
価格 1,019円(税込)

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著者/訳者名 松原隆一郎/著
出版社名 筑摩書房 (ISBN:978-4-480-06491-2)
発行年月 2009年05月
サイズ 297P 18cm
価格 903円(税込)

 経済学を少しでも理解できるようになりたいと考えてどのくらい経つだろうか。かなりいろいろ本を読んではいるが、理解できるまで遅々として進まない。経済学説史の本を読んでみた。アダム・スミス以来いろいろな学者(ほとんどがイギリス・アメリカ人)が、それまでの学説を批判しながらいろいろな説を発表しているのがわかる(当たり前だが)。批判を読んでいると、それまで理解できなかった批判されている学者の説が、何となく輪郭が見えてくるような気がする。それだから、経済学説史を勉強する意味があるのだろう。60年代のサムエルソンや、去年(2008年)のリーマン・ショック以来のミルトン・フリードマンに対する評価も、かなり劇的に変化しつつある。経済学の考え方というのは、「科学」というよりは、その学者の信念のようなもの、つまりイデオロギーに近いもののように思えてくる。また、今では忘れ去られている学者の説も著者によって光が当てられていて、興味深い。

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著者/訳者名 宮台真司/著
出版社名 幻冬舎 (ISBN:978-4-344-98121-8)
発行年月 2009年04月
サイズ 286P 18cm
価格 840円(税込)

 久しぶりに宮台真司の本を読みました。力作だと読んでいて思いました。いろいろな日本の話題が取り上げられていて、しかも一気に読み通すことができます。3百頁近くありまして、読み応えもそこそこあります。印象に残ったキーワードは「包摂性」です。この社会で「包摂性」を大事に育てていく重要さが強調されていて心に残りました。この複雑で不安な社会の中で生きていく上で大事なことは何なのかということを書いてあるように思いました。言葉でしっかり考えていく学問の力を実感するのに役立つ本だと思います。

 ただ、書名がわかりづらくて「難点」だと思います。一般の人向けには、もうちょっと読んでみようという気を起こさせる書名が必要です。

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 公立図書館で最近購入された本を調べてみました。読んでみたい本をピックアップしてみました。

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著者/訳者名 浜矩子/著
出版社名 岩波書店 (ISBN:978-4-00-431168-3)
発行年月 2009年01月
サイズ 198P 18cm
価格 735円(税込)

 去年9月15日のリーマン・ショック以来、10ヶ月という時が流れましたが、一部では、この秋(2009年秋)第二の金融危機が訪れるのではないかと囁かれています。 AIG とか citi グループだとかが危ないとかいわれています。

 一方、日本のテレビとか新聞では、面だって危機については触れられていないように思います。何か、私には、真実が「伏せられている」感じがしてなりません。テレビに出てくるような専門家も、知っているのだがそれに触れない、というような感じがしてなりません。

 そもそも、今回の世界同時不況を本など読んで調べてみてみると、1年やそこらで回復する規模ではないことがわかります。日本の GDP の規模を数倍にもした規模のマネーが動き、それが危ないのだから、アメリカ政府が不良債権を買い取ったり、資本注入をやったりしてもそう簡単に解決できる規模ではありません。しかも、アメリカ政府に財政的な余裕があるわけもない状態だし。

 危機意識を表に出して騒いでいる中国政府をみていると、真っ当な危機意識だと思います。アメリカ国債を大量に保有している中国としては当然なものでしょう。日本も、国家予算に匹敵する額を保有し、中国と同じくらいのアメリカ国債を保有しているはずです。

 第二の金融危機が起こると、アメリカ当局は、ドルをマス・プリントして対処するのでしょうが、そんなことをすれば、インフレーションは激しいものになるでしょう。アメリカ国債は紙くず同然になり、基軸通貨のドルは崩壊し円高は更に昂進するでしょう。世界経済は、更なる混迷に突入するでしょう。管理通貨制度のもとの恐慌。基軸通貨の崩壊。何らかの新しい制度が必要になってくるでしょうから、真剣に第二ブレトンウッズ体制を考えなければなりません。

 この本は。リーマン・ショック以後、急きょ出版が決まった本のようで、著者に危機意識がある状態で書かれているのが、かえって良かったのではないでしょうか。今のような中だるみの時に書くと、また違った内容になったかもしれませんので、危機意識がある時の出版で良かったと思います。

 著者は、今回の危機に対して「古典的恐慌としての条件が十分に備わっている」と言い、更に「これまでの恐慌現象には全く見られなかった特性が備わっている」といって論を展開していきます。後者の論点は、

  • 世界同時多発的に進行している
  • モノとカネが決別する構図の中で展開
  • 管理通貨制度の下で発生

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