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著者 広瀬隆/著
出版社名 日本実業出版社 (ISBN:4-534-03805-4)
発行年月 2004年09月
サイズ 397P 20cm
価格 1,680円(税込)

 すこし古い本ですが、いま読んでも価値がある本だと思いました。多義にわたって書かれていて全体的印象を書くのは難しいです。印象に残ったことを書けば、国際的金融マフィアの害毒を告発する内容が、昨年(2008年)のリーマン・ショックを経て、なおさら害毒の強さを実感しているところです。今後、どのように世界が激動していくのか、多くの人が不安に感じているところです。私は、ジャック・アタリの本(『21世紀の歴史』作品社)で書かれていた内容をもう一度思い返すのがいいように思います。特に、

  • 第4章 帝国を超える”超帝国”の出現?21世紀に押し寄せる第一波
  • 第5章 戦争・紛争を超える”超紛争”の発生?21世紀に押し寄せる第二波
  • 第6章 民主主義を超える”超民主主義”の出現?21世紀に押し寄せる第三波

 ただ、ここは広瀬隆氏のこの本のことを書かねばならないので、更に印象に残ったところとしては、失業や倒産の問題です。今の日本に蔓延している問題にどのような基本的視点で考えればいいか、書かれているように思いました。誰も「これぞといった根本的解決策」を見いだしていないが、何を基本に考えればいいかは、この本に書かれているように思います。

 原発問題のオーソリティーですので原発の怖さがわかりましたが、これを解決するかもしれない代替エネルギー策としての燃料電池の可能性をこの本を読んで知りました。放射能も恐いし、大地震が起きた時の大きな被害を被った原発の怖さ、そして復旧するまでの時間の長さも非常に致命的であることがわかりました。原発が大地震にあって稼働停止した事例は、私の記憶でも2つほどあったし恐い。エネルギー効率も悪いし(本来持っているエネルギーの3分の1しか使えていなくて、残りは温水として海に捨てている)、世界的には、もっと原発を増やす方向に進んでいるのが恐いです。燃料電池の可能性を、多くの国民が知って普及することを願うばかりです。
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著者/訳者名 広瀬隆/著
出版社名 集英社 (ISBN:978-4-08-720489-6)
発行年月 2009年04月
サイズ 238P 18cm
価格 756円(税込)

 今回の衆議院選挙で民主党が大勝し、国民新党と社民党との連立政権を組んで鳩山内閣が発足したのは、2009/09/16 でした。「金融 郵政改革」担当大臣に就任したのが亀井静香(72)です。彼は、もともとは自民党の代議士で、郵政民営化に反対だったので、小泉純一郎が仕組んだ4年前の郵政選挙によって自民党にいられなくなって飛び出し国民新党を結成した。その亀井氏が、今度は「金融 郵政改革」担当大臣に就任したのだから、その亀井氏の動向が注目されるわけでして、「小泉劇場」というか「政治の劇場」が続いているとも言えなくはないです。

 ところで、この郵政民営化というのは、実のところ日本国民には何もわかっていないのが実情ではないでしょうか。私も、よくわかっていませんでした。過疎地の郵便局がなくなる問題とか、身近な問題に惹きつけて考えていたりします。あるいは、郵政の職員が国家公務員の身分でいる必要があるのか、とか言われもしました。独立採算制で行っているのだから国家公務員の身分でいても何ら問題ない、と何かで読んだこともあります。結局、郵政民営化というのは、あるいは、郵政選挙とは何だったのかわからないまま、国民は踊りに踊ったわけです。

 この本を読むとわかりますが、郵政民営化というのは、アメリカの要求だったのです。アメリカが要求するというのは、何か裏があるのではないか、と考えねばならないでしょう。広瀬氏は「日本に眠っている郵貯という巨大な金融資産を市場に吐き出させ、アメリカのウォール街が自在に使えるようにするため」(p230)、思慮のない小泉元首相をたぶらかして行った、と主張します。

 金融危機(広瀬氏は、「金融腐敗」と呼べと言います)のまっただ中で、アメリカ政府は、巨額の財政赤字を抱えている中、世界各国、とりわけ日本と中国にアメリカ国債を買ってもらいたくて仕方がありません。郵政が民営化されていけば、やがて郵貯と簡保であわせて334兆円もの国民の資産がアメリカ国債やウォール街への投資としてアメリカに流れていくのではないでしょうか。財務大臣の藤井氏は、円高容認発言をしているようです。今のアメリカドルは、このままでは大暴落するのではないでしょうか。そうなると、国民の膨大な資産は紙くず同然と化します。

 この本を読むと、経済がグローバル化した国際金市場では、国際金融マフィアともいえるウォール街の連中の恐ろしい行動が、実体を動かしている人物とともに見えてきます。是非、一度は読んでおきたい本です。

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 政治家やエコノミストが「構造改革」という時、それは何を意味しているか理解している人はどのくらいいるのだろうか。そして「構造改革」をすることによって本当に日本経済がよくなるのかどうか、それも、どのくらいの人が理解しているのだろうか。専門家の人が「構造改革」を口にすることによって、庶民には理解できないものにしているように思えてくる。

 そもそも「構造改革論」とはどういうもので、そこにどのような問題がはらまれているのか、この本を読むことで少しはわかったような気持ちになりました。このような本をしっかり読んだ上で、政治家やエコノミストの「構造改革論」を批判的に見ていかねばならないのだろう。テレビに出てくるエコノミストがデタラメな意見を垂れ流している、というのが私の実感だが、これを見破るためにもしっかりした知識を身に付けたい。この本は、それに役立つだろう。

著者/訳者名 松原隆一郎/著
出版社名 日本放送出版協会 (ISBN:4-14-001963-8)
発行年月 2003年05月
サイズ 252P 19cm
価格 1,019円(税込)

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著者/訳者名 松原隆一郎/著
出版社名 筑摩書房 (ISBN:978-4-480-06491-2)
発行年月 2009年05月
サイズ 297P 18cm
価格 903円(税込)

 経済学を少しでも理解できるようになりたいと考えてどのくらい経つだろうか。かなりいろいろ本を読んではいるが、理解できるまで遅々として進まない。経済学説史の本を読んでみた。アダム・スミス以来いろいろな学者(ほとんどがイギリス・アメリカ人)が、それまでの学説を批判しながらいろいろな説を発表しているのがわかる(当たり前だが)。批判を読んでいると、それまで理解できなかった批判されている学者の説が、何となく輪郭が見えてくるような気がする。それだから、経済学説史を勉強する意味があるのだろう。60年代のサムエルソンや、去年(2008年)のリーマン・ショック以来のミルトン・フリードマンに対する評価も、かなり劇的に変化しつつある。経済学の考え方というのは、「科学」というよりは、その学者の信念のようなもの、つまりイデオロギーに近いもののように思えてくる。また、今では忘れ去られている学者の説も著者によって光が当てられていて、興味深い。

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著者/訳者名 宮台真司/著
出版社名 幻冬舎 (ISBN:978-4-344-98121-8)
発行年月 2009年04月
サイズ 286P 18cm
価格 840円(税込)

 久しぶりに宮台真司の本を読みました。力作だと読んでいて思いました。いろいろな日本の話題が取り上げられていて、しかも一気に読み通すことができます。3百頁近くありまして、読み応えもそこそこあります。印象に残ったキーワードは「包摂性」です。この社会で「包摂性」を大事に育てていく重要さが強調されていて心に残りました。この複雑で不安な社会の中で生きていく上で大事なことは何なのかということを書いてあるように思いました。言葉でしっかり考えていく学問の力を実感するのに役立つ本だと思います。

 ただ、書名がわかりづらくて「難点」だと思います。一般の人向けには、もうちょっと読んでみようという気を起こさせる書名が必要です。

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 公立図書館で最近購入された本を調べてみました。読んでみたい本をピックアップしてみました。

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著者/訳者名 浜矩子/著
出版社名 岩波書店 (ISBN:978-4-00-431168-3)
発行年月 2009年01月
サイズ 198P 18cm
価格 735円(税込)

 去年9月15日のリーマン・ショック以来、10ヶ月という時が流れましたが、一部では、この秋(2009年秋)第二の金融危機が訪れるのではないかと囁かれています。 AIG とか citi グループだとかが危ないとかいわれています。

 一方、日本のテレビとか新聞では、面だって危機については触れられていないように思います。何か、私には、真実が「伏せられている」感じがしてなりません。テレビに出てくるような専門家も、知っているのだがそれに触れない、というような感じがしてなりません。

 そもそも、今回の世界同時不況を本など読んで調べてみてみると、1年やそこらで回復する規模ではないことがわかります。日本の GDP の規模を数倍にもした規模のマネーが動き、それが危ないのだから、アメリカ政府が不良債権を買い取ったり、資本注入をやったりしてもそう簡単に解決できる規模ではありません。しかも、アメリカ政府に財政的な余裕があるわけもない状態だし。

 危機意識を表に出して騒いでいる中国政府をみていると、真っ当な危機意識だと思います。アメリカ国債を大量に保有している中国としては当然なものでしょう。日本も、国家予算に匹敵する額を保有し、中国と同じくらいのアメリカ国債を保有しているはずです。

 第二の金融危機が起こると、アメリカ当局は、ドルをマス・プリントして対処するのでしょうが、そんなことをすれば、インフレーションは激しいものになるでしょう。アメリカ国債は紙くず同然になり、基軸通貨のドルは崩壊し円高は更に昂進するでしょう。世界経済は、更なる混迷に突入するでしょう。管理通貨制度のもとの恐慌。基軸通貨の崩壊。何らかの新しい制度が必要になってくるでしょうから、真剣に第二ブレトンウッズ体制を考えなければなりません。

 この本は。リーマン・ショック以後、急きょ出版が決まった本のようで、著者に危機意識がある状態で書かれているのが、かえって良かったのではないでしょうか。今のような中だるみの時に書くと、また違った内容になったかもしれませんので、危機意識がある時の出版で良かったと思います。

 著者は、今回の危機に対して「古典的恐慌としての条件が十分に備わっている」と言い、更に「これまでの恐慌現象には全く見られなかった特性が備わっている」といって論を展開していきます。後者の論点は、

  • 世界同時多発的に進行している
  • モノとカネが決別する構図の中で展開
  • 管理通貨制度の下で発生

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著者/訳者名 上杉隆/著
出版社名 草思社 (ISBN:4-7942-1537-1)
発行年月 2006年11月
サイズ 286P 20cm
価格 1,575円(税込)

 小泉政権の5年半をもう一度ふり返ってみるのに参考になる本ではと思いました。田中真紀子外務大臣をめぐるごたごたが、なんであったのか、もう一度ふり返るべきだと思いました。人気のある政治家であったが、国民は、そしてマスコミも含めて、田中が大臣にすべき器であったのかどうか見誤ったのが決定的でありました。ドーナツ化現象といって、田中の地元の近くの人は、彼女の本性を見破っていた人が多かったのだが、彼女を遠くからみていた人には、それがわからなかった。民主主義というのは、時にしてとてつもないモンスターを選んでしまうということがあるが、典型的なのがドイツのヒトラーである。そこまでは行かないにしても、小小ヒトラーを選出する怖さがありますね。

 北朝鮮に拉致された人々を救出する問題でも、マスコミは当初、取り上げようともしなかったという。いろいろ問題をかかえていた。拉致問題に関わっていた政治家、とりわけ平沢勝栄の問題が書かれています。

 過去、小泉政権について書いた上杉自身の記事を再録し、それに対する反省も書かれている特異な本です。特異といったのは、ジャーナリズム、とりわけ日本のジャーナリズムは、自分の書いた記事の反省文を公にしたりはしないからです。でも、アメリカなどでは、それが当たり前だという。匿名ではなく、実名で記事を書き、政治権力と対峙する、という姿勢は大事なことだと思いました。そこまで、日本のジャーナリストはいっていない。権力をチェックし、きちっと権力に対峙するジャーナリストが求められていると、上杉はいいます。(このブログ記事は、書きかけです)

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 すばらしいサービスだと思います。私のような本の虫でしたら、たとえ入院していても本は読みたい。そういう人は、多いのではないでしょうか。
入院患者に本届けます 置戸図書館・赤十字病院 午前注文、夕方手元に-北海道新聞(生活)

 【置戸】網走管内置戸町の町立図書館・生涯学習情報センター(矢崎秀人館長)と置戸赤十字病院(長谷川岳尚(たけなお)院長、九十五床)が、入院患者への配本サービスを二月中旬から共同で始めた。患者が蔵書から借りたい本を自由に選べる「道内では聞いたことがない」(道立図書館)サービスだ。

 患者は貸出申込書を看護師か病院職員に渡し、ファクスでセンターに送信。約三百メートル離れたセンターから職員が病院に直接配本する。午前中に申し込めば、夕方までに本が届く。患者が本を選ぶ際は看護師らがインターネットの蔵書検索を手助けする。返却ボックスは病院内に設けた。

 同病院では以前、患者が病院の清掃員に頼んで本を借りていたことがあり、昨年からセンターと病院が対応を検討していた。矢崎館長は「地域の病院をサポートするのは公立図書館の重要な役割」と今回のサービスの意義を強調する。

 今後、読んでみたい本です。最近、出版された本ばかりを選んでみました。去年の秋以降、私の興味は、金融・経済ばかりに傾きつつあります。

『グローバル恐慌』 浜 矩子/著 (読んだ
『世界経済危機日本の罪と罰』 野口悠紀雄/著
『金融資本主義のゆくえ』 金子 勝/著
『マネーが止まった』 田中直毅/著
『アメリカ後の世界』ファリード・ザカリア/著 (読んだ

『見残しの塔 周防国五重塔縁起』 久木綾子/著
この本は、金融・経済の本ではないが、たまたま、NHKラジオを聴いていた(2009/03/01~03/02)ら、「ラジオ深夜便」でインタビューが放送され、興味がそそられた本です。89歳で、初めて本を出版した方ですが、インタビューを聴いているかぎりとても89歳とは思えないくらい、話が明瞭で理知的ですばらしい人物に思えました。セブンアンドワイのサイトでも、日に日に売り上げランキングが上昇しているのがわかりました。

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『ロックフェラー帝国の陰謀 PART・1と2』 ゲイリー・アレン、高橋良典/訳
この本は、1980年代半ばに出版(アメリカ本国では、1976年出版された)された古い本ですが、ロックフェラー一族とそれに操られているアメリカの外交問題評議会(CFR)が、世界支配を狙っている、ということを書いている本です。一見すると何か胡散臭い「トンでも本」のようにも思えるのですが、読んでいる最中ですが、そうとも言い切れない、むしろ真実に近いのではないか、と思えるくらいの本です。おそらく、田中宇が読んでいると、私は推測しているのですが、かなり大きく影響を受けている本だと思っています。訳者あとがきによると、著者のゲイリー・アレンは、カリフォルニアのシール・ビーチに住むフリーのジャーナリスト、とある。
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