著者/訳者名 宮台真司/著
出版社名 幻冬舎 (ISBN:978-4-344-98121-8)
発行年月 2009年04月
サイズ 286P 18cm
価格 840円(税込)
久しぶりに宮台真司の本を読みました。力作だと読んでいて思いました。いろいろな日本の話題が取り上げられていて、しかも一気に読み通すことができます。3百頁近くありまして、読み応えもそこそこあります。印象に残ったキーワードは「包摂性」です。この社会で「包摂性」を大事に育てていく重要さが強調されていて心に残りました。この複雑で不安な社会の中で生きていく上で大事なことは何なのかということを書いてあるように思いました。言葉でしっかり考えていく学問の力を実感するのに役立つ本だと思います。
ただ、書名がわかりづらくて「難点」だと思います。一般の人向けには、もうちょっと読んでみようという気を起こさせる書名が必要です。
本の内容
現代とは「社会の底が抜けた時代」である。相対主義の時代が終わり、すべての境界線があやふやで恣意的な時代となっている。そのデタラメさを自覚した上で、なぜ社会と現実へコミットメント(深い関わり)していかなければならないのか。本書は、最先端の人文知の成果を総動員して、生きていくのに必要な「評価の物差し」を指し示すべく、「現状→背景→処方箋」の3段ステップで完全解説した「宮台版・日本の論点」である。
「本書はこれ以上はあり得ないというほど、噛み砕いて書かれています。本書に難解なところがあるとすれば、それは記述の難解さではなく、事柄の難解さによるものです。通読すれば眩暈がするでしょうが、それは圧倒的情報量による眩暈でなく、〈社会〉の複雑さによる眩暈でしょう。その意味で、本書の全体を読み通すと、叙事詩やギリシア悲劇を通読したような、あえて言えば文学的な印象を与えるはずです。」(「あとがき」より)
目 次
第1章 人間関係はどうなるのか コミュニケーション論・メディア論(若者のコミュニケーションはフラット化したか
ケータイ小説的 コンテンツ消費はどのように変わったのか ほか)
第2章 教育をどうするのか 若者論・教育論(「いじめ」は本当に決してなくせないのか
「ネットいじめ」「学校裏サイト」から子どもを守れるか ほか)
第3章 「幸福」とは、どういうことなのか 幸福論(「自分だけ幸せならそれでいい」のか
自己決定論の現在 「宮台真司」の主張は以前と今で矛盾しているか ほか)
第4章 アメリカはどうなっているのか 米国論(オバマ大統領の演説は一体どこがすごいのか
どうして、アメリカは大統領制なのか ほか)
第5章 日本をどうするのか 日本論(後期高齢者医療制度は現代の「うば捨て山」か
裁判員制度 司法の民主化か、新しい動員体制か ほか)
著者情報
宮台 真司(ミヤダイ シンジ)
1959年宮城県生まれ。社会学者。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。著書に『14歳からの社会学』(世界文化社)『<世界>はそもそもデタラメである』(メディア・ファクトリー)『幸福論』(NHKブックス)など多数。近刊予定に『宮台真司初期思考集成』(勁草書房)など。
トラックバックURL:
https://serene.sakura.ne.jp/blog/2009/08/29/1340/385.php/trackback