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著者/訳者名 松原隆一郎/著
出版社名 筑摩書房 (ISBN:978-4-480-06491-2)
発行年月 2009年05月
サイズ 297P 18cm
価格 903円(税込)

 経済学を少しでも理解できるようになりたいと考えてどのくらい経つだろうか。かなりいろいろ本を読んではいるが、理解できるまで遅々として進まない。経済学説史の本を読んでみた。アダム・スミス以来いろいろな学者(ほとんどがイギリス・アメリカ人)が、それまでの学説を批判しながらいろいろな説を発表しているのがわかる(当たり前だが)。批判を読んでいると、それまで理解できなかった批判されている学者の説が、何となく輪郭が見えてくるような気がする。それだから、経済学説史を勉強する意味があるのだろう。60年代のサムエルソンや、去年(2008年)のリーマン・ショック以来のミルトン・フリードマンに対する評価も、かなり劇的に変化しつつある。経済学の考え方というのは、「科学」というよりは、その学者の信念のようなもの、つまりイデオロギーに近いもののように思えてくる。また、今では忘れ去られている学者の説も著者によって光が当てられていて、興味深い。

本の内容
市場経済はいかにして驚異的な経済成長を可能にするのか。そうして社会が豊かになっても貧富の格差が拡大するのはなぜだろうか。また、資本主義が不可避的にバブルや不況を繰り返す原因はどこにあるのか。スミス、マルクスから、ケインズ、ハイエクを経てセンまで、本書は厳選された30冊の核心を明快に解きほぐすブックガイドである。それぞれの時代の経済問題に真っ直ぐ対峙することで生まれた古典は、私たちが直面する現下の危機を考えるうえで豊穣な知見に満ちていよう。

目  次
1 (ロック『統治論』 私的所有権がもたらす自由とその限界
ヒューム『経済論集』 奢侈と技術が文明社会を築く
スミス『道徳感情論』 共和主義と商業主義をつなぐ「同感」 ほか)
2 (マルクス『資本論』 貨幣と労働の神話を解く
ワルラス『純粋経済学要論』 一般均衡理論が実現する社会主義
ヴェブレン『有閑階級の理論』 大企業と見せびらかしが生み出す野蛮な文明 ほか)
3 (バーリ=ミーンズ『近代株式会社と私有財産』 株式会社は誰のものか
ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』 貨幣経済を動かす確信と不安
ポラニー『大転換』 経済自由化は「悪魔の挽き臼」だ! ほか)

著者情報
松原 隆一郎(マツバラ リュウイチロウ)
1956年神戸市生まれ。東京大学工学部卒業。同大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は社会経済学・相関社会科学。社会科学と俗世に関する該博な知識を駆使して論壇でも活躍、アカデミズムとの相互乗り入れを図る



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