私が利用している「ASAHIネット」なんですが、スパムメールが、日に400通以上来ていたのですが、

 いよいよサービス開始!「おまかせスパムブロック」【2008年11月13日】

 このサービスで劇的にスパムメールが減りました。いままでも、いろいろ対策を講じてスパムメールをバッサリ削除する方法をとっていたのですが、その手間もほとんどいらない状態になりました。

32115842.JPG著者 近藤健/著
出版社名 講談社 (ISBN:978-4-06-287956-9)
発行年月 2008年08月
サイズ 254P 18cm

 私は、アメリカが大嫌いなのだが、冷静にその「嫌い」を分析してみると、アメリカ政治が嫌いであって、そのアメリカ政治を支持しているアメリカ国民も嫌いなのだ。しかし、ここは冷静に。実際にこの本を手にとって目次を読んでもらいたい。文字通りいろいろなことを「反米主義」ということを主題に広範に取り上げられている。読者としては、広範に取り上げられているので、興味があること無いこともあるであろうが、「いろいろなことが論じられていることに驚きを感じる」かもしれない。それこそ、「近代の超克」も出てくるし数学者・藤原正彦の『国家の品格』も出てくるし、エドワード・W・サイードも出てくる、と書けばわかってもらえるかも。それだけ、いろいろ論じられているので感想を書くのが難しくもあるのだ。実際に読んでいただきたい。読んで良かった、と思える本だ。教養ある人でも自分の知らなかったことがたくさん出てくる! ちょっとしどろもどろ。

本の内容
反米主義という現象から、まともなアメリカ批判、対米経験からくる、また出来事への反応としての反米感情などを削ぎ落としてみると、反米主義の内実は、資本主義システムのなかで大量消費文化の性質である浪費と破壊と格差をいかに抑制するかという望ましい資本主義をめぐる自分探しである、といえるのではないか。政治・経済・文化のアメリカ化に世界が抵抗している。

目  次
第1章 反米主義をつかまえる(素朴な疑問
ブッシュの罪
反米主義現象のとらえ方 ほか)
第2章 アメリカニゼーションの恐怖(無意識のアメリカ化
文化は商品か
ハリウッドはアメリカ化の先兵か ほか)
第3章 屈折した心理 日本の場合(人種(主義)という通奏低音
排日移民法と原爆投下
「アジア主義」の気分 ほか)

著者情報
近藤 健(コンドウ ケン)
1933年生まれ、国際基督教大学卒業。毎日新聞社入社後、サイゴン特派員、ワシントン特派員、外信部長、ワシントン支局長、論説委員などを務める。退社後は国際基督教大学教授、愛知学院大学教授を務める。専門はアメリカ研究

 いろいろなメディアで筑紫さんの死を報道していた。NHKでも取り上げていた。いま、現役でニュースのキャスターをしている人が、仮に死亡した場合、彼筑紫さんのように取り上げられるキャスターはいるだろうか? 私は、筑紫さん以外いないのではないかと思う。嫌な言い方だが「アメリカのイヌ的キャスター」「日本政府のイヌ的キャスター」は、ゴロゴロいるのは確かだ。しかし、「○○的キャスター」でなかったから、彼の死を各メディアが取り上げたのではないかと思う。熱心な視聴者じゃなかったので、私の思いこみかもしれませんが。
筑紫哲也さんが死去 ニュースキャスターで活躍

 テレビのニュースキャスターとして長く活躍したジャーナリストの筑紫哲也(ちくし・てつや)さんが7日午後1時50分、肺がんのため東京都中央区の聖路加国際病院で死去した。73歳。大分県出身。葬儀は近親者のみで行い、後日お別れの会を開く。喪主は妻房子(ふさこ)さん。

 2007年5月に、キャスターを務める番組「筑紫哲也NEWS23」でがんを告白し、闘病を続けていた。

 1959年、朝日新聞社入社。政治部、米統治下の沖縄特派員を経てワシントン特派員となり、ウォーターゲート事件などを取材した。その後「朝日ジャーナル」編集長時代には企画「新人類の旗手たち」が話題になり「新人類」は流行語となった。

 89年に退社しTBSの「筑紫哲也NEWS23」のメーンキャスターに。独自の視点で論評するコーナー「多事争論」が人気で、TBSがオウム真理教幹部に坂本堤弁護士のインタビュー映像を見せた問題では「TBSは死んだに等しい」と発言、大きな反響を呼んだ。98年に当時現職のクリントン前米大統領をスタジオに招き、市民との直接対話を実現させた。

 治療のため、キャスターを後藤謙次前共同通信編集局長に譲った後も、スペシャルアンカーとして番組に時折出演した。

 先月(2008/10/30)に出た情報ですが、Opera 9.62 を普及させたいのでブログの記事にしておきます。Opera のすごいところは、タブの移動が楽なことです。タブ移動は、「設定」⇒「詳細設定」⇒「ショートカット」で「シングルキーショートカットを有効にする」にチェックしていれば、数字キー「1」と「2」が使えてタブ移動ができます。「1」で左のタブに「2」で右のタブに移動できます。
「Opera 9.62」リリース、2件の脆弱性を修正

「Opera 9.62」リリース、2件の脆弱性を修正

 Opera Softwareは30日、Webブラウザの最新バージョン「Opera 9.62」をリリースした。2件の脆弱性を修正しており、Windows版、Mac OS版、Linux版などが同社サイトよりダウンロードできる。

 Opera 9.62ではまず、履歴検索において任意のコードが実行される恐れのある脆弱性を修正した。履歴検索に送られた特定のパラメータが適切にサニタイズされず、検索結果にスクリプトを注入することができるという。これが実行されると、Operaの設定を変更されたり、任意のコードを実行される恐れがある。深刻度は“Extremely Severe”となっている。

 もう1件は、閲覧しているページ上にあるすべてのリンク(JavaScript URLを含む)を一覧表示する「リンクパネル」における脆弱性。フレーム内のJavaScript URLの処理に問題があり、そのURLが存在するページ内ではなく、外側のページで実行されてしまうため、クロスサイトスクリプティング(XSS)の恐れがあるとしている。深刻度は“Highly Severe”となっている。

32114701-00.JPG著者/訳者名 坪井善明/著
出版社名 岩波書店 (ISBN:978-4-00-431145-4)
発行年月 2008年08月
サイズ 254,4P 18c
価格 819円(税込)

 ベトナムについて何を知っているだろうと考えた時、最近では、日本の女性達がベトナム旅行をしているとか。どういう目的なのか? ベトナム料理か、あるいはベトナムの雑貨が目的? ベトナム戦争といっても、すでに終結したのが1975年でしたから、もう知らない人の方が多いのかもしれません。ベトナムは、それまで30年あまり独立のための戦争をしていたことを頭の片隅に置いておいてほしい。30年も戦争? 日本の敗戦からだから1945年から1975年まで。だから30年になる。しかし、その前にもフランスの植民地だったり、日本軍の占領時代もあったから30年どころではないのだ。そう考えると、何と過酷な運命に置かれた国だろうと思う。ベトナム戦争中は、戦略爆撃機B52によって枯れ葉剤がばらまかれ、これは、別の言い方をすれば、ダイオキシンをB52によってばらまかれたと言ってもいいものだ。何と、極悪非道なことをされたのだろう!

 ベトナムがアメリカとの戦争で勝利して、世界の人達は、少なくとも反戦ということに意識がまわっていた人達は、ベトナム人の闘いを尊敬の眼差しで見ていたのもつかの間、程なく隣国のカンボジアへと侵攻していったベトナムには失望を持った人達も多かったであろう。中国が中華人民共和国を打ち立てた余勢で独立国・チベットを武力併合したり北朝鮮軍と合同で南進して朝鮮戦争になったり、という構図と同じであった。勝利すると、どこか気が大きくなるもののようだ。

 1979年に中国とベトナムが戦争をしたという記憶をお持ちの方もいるでしょう。16日間で終わった、とこの本を読んで知った。中国は、アメリカの了解を取り付けて行ったと知った。その頃は、中国とソ連が仲が悪く、ベトナムはソ連に与していたから、戦争も起きたのだろう。隣国カンボジアは、ポルポト政権が毛沢東主義を極端なかたちで政策を実行して、自国民を大量虐殺をしていたのも、その当時の政治情勢に大きく影響している。ベトナムは、カンボジアにヘンサムリン政権という傀儡政権をつくって10年以上もカンボジアに干渉し続けていた。カンボジアから完全撤退したのが1989年の9月であった。

 表面的に知っていることを思いつきで書いたが、ベトナムの過去と現在を現実的にも理論的にも包括的に知るには、この本が最適なように思いました。新書だからたかだか250ページ。でも、コンパクトにまとまっていて、しかも、学者の書いたものだから、理論的にもまとまった書物として読むことができます。共産主義政権の独裁を、今後どのように民主化していくのか、というような問題を考えるのに参考になると思います。
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 札幌市の隣のまち江別市でも小雪がちらほら舞いました。いよいよ雪の季節になってきました。家の中では、FFストーブを焚いています。灯油代が高いので、微少燃焼です!
初雪 札幌で観測…平年より8日遅く(毎日新聞)

初雪 札幌で観測…平年より8日遅く
11月4日10時31分配信 毎日新聞

 上空に12月下旬並みの強い寒気が入り込んだ影響で北海道内は4日朝、全道的に冷え込み、札幌管区気象台は札幌の平野部で初雪を観測したと発表した。平年より8日、昨年より2日遅い。初雪は函館、室蘭、網走、帯広、浦河でも観測された。

 最低気温は札幌で1.7度、函館で2.5度、稚内で1.2度などいずれも今季最低を更新した。同気象台によると、5日には平年並みの気候に戻るという。【横田愛】

 最近、この手の主張をする人をちらほら見かけます。『諸君!』や『正論』あたりに出てくる一部の学者の主張を鵜呑みにしたものだと思われます。要は、自分たちに(日本国に有利な?!)有利な主張をかってに捏造したような代物です。歴史を勝手に偽造していると言ってもいいようなものです。公職にあるものがこのような主張を鵜呑みにして自説にしちゃあいけないのはいうまでもないと思います。「歴史を勝手に偽造」という言葉が強すぎるなら、十分に検証されていない主張、とでも言い換えても良いですが。自分たちが歩んできた歴史を真正面からみることができない臆病者、ないしは、姑息な感じ・印象を私は受けます。

「日米開戦についても「米国によって慎重に仕掛けられた罠(わな)」と定義した。」--仮にこれが真実なら、日本の帝国軍隊がよっぽどマヌケな軍隊であった、ということになって(実際、冷静に世界情勢を分析できていなかった、という面はあります)、戦死した軍人や戦争で路頭に迷った日本人は、どういうことになるのだろう?! (帝国軍隊を冒涜するのか?! ということにもなります。もちろん、私はそういう立場はとりませんが)また、戦争被害を被った近隣諸国も黙っていはないでしょう。お粗末というか、害あって一利無しの論文だと思います。

 軍人が勝手な主張をするのも問題です。シビリアンコントロールを蔑ろ(ないがしろ)にする危険な兆候でもあると思います。戦前、軍部が暴走して(満州での関東軍の制御ができなくなった)テロやクーデターを繰り返し、政党政治を事実上できなくしたのも思い起こしておくべきでしょう。

<航空幕僚長>「侵略国家はぬれぎぬ」と論文発表、更迭へ

<航空幕僚長>「侵略国家はぬれぎぬ」と論文発表、更迭へ
10月31日21時18分配信 毎日新聞

 航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長(60)が、日本の過去の戦争をめぐって「我が国が侵略国家というのは濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だ」と主張する論文を執筆していたことが31日、分かった。侵略と植民地支配を謝罪した95年の「村山談話」などの政府見解を大きく逸脱する内容。集団的自衛権の行使を禁ずる憲法解釈などを「東京裁判のマインドコントロール」とも位置づけており、事態を重視した浜田靖一防衛相は31日夜、田母神空幕長を更迭する意向を固めた。

 論文は「日本は侵略国家であったのか」と題し、総合都市開発「アパグループ」の懸賞論文「真の近現代史観」に応募。最優秀賞を受賞し、31日にインターネット上などで英訳とともに公表された。

 日中戦争については「我が国は蒋介石により戦争に引きずり込まれた被害者」と指摘しながら、旧満州や朝鮮半島が「日本政府と日本軍の努力によって、それまでの圧政から解放され、生活水準も格段に向上した」と植民地支配を正当化。そのうえで「多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価している。我が国が侵略国家だったなどというのは正にぬれぎぬだ」と結論づけている。

 日米開戦についても「米国によって慎重に仕掛けられた罠(わな)」と定義した。

 さらに自衛隊のあり方をめぐり、集団的自衛権行使、武器使用の制限を挙げ、「自衛隊は雁字搦(がんじがら)めで身動きできない。マインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない」と記している。

 麻生太郎首相は村山談話と、戦後60年に改めて謝罪した05年の「小泉談話」を踏襲する方針を示している。これらの談話をほぼ否定する論文にはアジア諸国や与野党からの批判が予想される。

 首相は31日夜、記者団に「読んでいないが、立場が立場だから適切でない」と不快感を示した。【松尾良】

31540987.JPG著者/訳者名 持田叙子/著
出版社名 人文書院 (ISBN:4-409-16088-5)
発行年月 2005年05月
サイズ 242P 20cm
価格 2,415円(税込)

 最近読んでいる本です。永井荷風を題材に作家や評論家が本をいろいろ出していますが、たいがいどれもおもしろい本が多い。これもその一つです。永井荷風という作家がそれだけ魅力ある人物だということでしょう。このあいだ、NHKをみていたら永井荷風を扱った番組(私のこだわり人物伝-永井荷風“お一人さま”の天才)があって、興味深くみることができました。

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本の内容
抑圧的な明治エリートの父親、その父親に痛々しく仕えた母、ご飯や味噌汁のにおいをかぐだけで何の楽しみもなくやつれ死んだ母の哀しみを思い出してしまう主人公。あるいはショコラの香りにつつまれて、パリの雑誌に手をのばしながら正月元旦にいぎたなく朝寝をむさぼる荷風の自画像-作品のそこかしこに見られる作家の意外かつ不思議に豊かな女性性に注目し、独身者として個を貫く生き方にすっかり魅せられた現代女性の熱い思いが横溢した出色の作家論。

目  次
米のご飯はハハの敵
一緒にレストランへ
デパートと荷風
百合の花咲くそこは-荷風の少女憧憬
小径、花園、荷風
夏の花、夏の孤独
白薔薇の季節に
朝寝の荷風
灯火繚乱
涙の東京
ネギをさげて、高らかに自由を
薔薇色のエゴイズム-或る荷風ファン

著者情報
持田 叙子(モチダ ノブコ)
1959年、東京生まれ。慶応義塾大学大学院修士課程、国学院大学大学院博士課程単位修了。青山学院女子短期大学・国学院大学兼任講師

31928180.JPG著者/訳者名 副島隆彦/著
出版社名 徳間書店 (ISBN:978-4-19-862010-3)
発行年月 2007年07月
サイズ 254P 20cm
価格  1,575円(税込)

 この著者の本を読むのは初めてです。昔、研究者の英和辞書を徹底的に批判して裁判沙汰になったことは知っていますが、それ以来の邂逅です。近頃の金融危機で、この問題をどのように考えたらいいか、調べるため公立図書館のサイトで検索していたらこの本に出会いました。

 かなり個性の強い本ですし、著者です。個性が強いのだけど田中宇氏とも違うし、反中国・親米・親靖国神社の櫻井よしこ氏とも違う評論家です(たまたま、最近読んだ評論家を持ち出しただけです)。サブプライムローン問題が根っこにあってアメリカの大手投資銀行が相次いで破綻し、ドルが暴落し金融恐慌もやってきて、著者の主張に耳を傾けるあたいがある本だと思います。ただし、政治学や社会学等をいろいろ広く知った上で読むべき本でしょう。何も知らないでこの著者の本を読むべきではないように思います。この著者の信奉者などになったら、特に若い人などは危険に思います。どのようにして、このような強い個性になったのか知りたくてウィキペディアをみてみました。学生の頃の高い志と実社会に出て荒波をくぐり抜けて、いまは、小金を持ったジジババを相手に利殖の本を書いている自分と、余計なお世話だが、どのように統一しているのだろう?! 若い頃の志は「若気の至り」とでもいうのだろうか?

 この本を読んでいて気になったことが二三あります。二酸化炭素の温室効果を正しく理解していないで、60~70年代の大気汚染が地球の温暖化をもたらすように考えている節があります(P85)。それから、Windows というパソコンの基本ソフト(OS)のことを、「インターネットにつなげる基本ソフト」というような記述がありますが(P226)、これも明らかな間違いです。という例に示されるように、著者は、サイエンスに詳しくないのが明らかなように感じました。

本の内容
目先の円安と低金利に騙されるな。やがてドルは暴落し、円は1ドル=80円へ。そして、金融恐慌が世界を襲う。いまこそ資産を金・ユーロ・人民元に移せ。

目  次
第1章 2008年末からドルが大暴落しアメリカ帝国は衰退する
第2章 世界はこうしてドルに騙された
第3章 かくてドル覇権は崩壊していく
第4章 日本はどこまでアメリカに毟られるのか
第5章 アメリカが衰退し、中国が次の超大国になる

著者情報
副島 隆彦(ソエジマ タカヒコ)
1953年、福岡市生まれ。早稲田大学法学部卒業。外資系銀行員、予備校講師を経て、常葉学園大学教授。ベストセラー『預金封鎖』(祥伝社)、『英文法の謎を解く』(筑摩書房)などの著者として知られる碩学。日米の政界・シンクタンクに独自の情報源を持ち、金融経済からアメリカ政治思想、法制度論、英語学、歴史など幅広いジャンルで、鋭い洞察と緻密な分析に基づいた論評を展開。また、副島国家戦略研究所(SNSI)を主宰し、日本人初の「民間人国家戦略家」として講演・執筆活動を続けている

31442218.JPG著者/訳者名 大井幸子/著
出版社名 日本経済新聞出版社 (ISBN:4-532-16484-2)
発行年月 2004年10月
サイズ 327P 20cm
価格  1,890円(税込)

 今年(2008年)9月からあらわになった世界的な金融危機をつうじて感じたことは、経済のグローバル化がすすんでいるこの世の中で、身近な庶民の生活も大きく影響を受けるということです。アメリカ人が、サブプライムローンで住宅を取得したり住宅バブルで現金を取得したりしていたが、一見これらは日本人になんの関係もないものと思っていたことが、昨夏のサブプライムローン問題が顕在化して以来囁かれていた金融危機が現実のものになり、世界的に影響が出始めて庶民は慌てはじめています。何を隠そうその一人が私なのだが、世界の経済・金融の仕組みを知らなすぎると思い知らされました。

 金融工学とかヘッジファンドとかを少しでも知るのにこの本を読んでみました。小説仕立てで読みやすいのですが、金融の仕組みとか詳しくは「読んでもよくわからなかった」というのが本音です。金融エリートという人達の生態が描かれていて、私としては、「うんざり」とした気持ちで読んでいました。エリートがすばらしいという気持ちはこれっぽっちも持っていない私としては、読んでいて苦痛そのものだったが読み通しました。それでなにかが得られれば、という気持ちがあったからです。その筋の生活の一端がかいま見られたのは、収穫かもしれません。彼らが世の中の一端を動かしているのは事実だし、それが私たちの生活に大きく影響を及ぼしている事実が許せない気持ちになりました。「ふざけるな!」という気持ちです。この本の最後の方(P316)に「金融危機が津波のように押し寄せてくるその前兆のようなものを感じた。」と主人公が告白しています。この本が出版されたのは、2004年秋でしたが、今日の金融危機を予測していたのでしょうか?!

本の内容
本書は、一九九八年ロシア危機から二〇〇四年七月までの約六年間を時間軸に、ウォール街の投資銀行やヘッジファンド運用会社の経営陣、トレーダー、投資家、そして、運用者と投資家の間に立つコンサルタント、弁護士、国際税理士など、ヘッジファンド業界に携わるさまざまな人びとが往来・交差する模様を描き出す。

目  次
第1章 ロシア危機
第2章 ノン・ランダム・ウォーク理論
第3章 ファンド・レイジングの新展開
第4章 ITバブル崩壊と九・一一テロ
第5章 ファニー・ファンドの新ビジネス
第6章 ヘッジファンドの新潮流
第7章 アメリカ社会に生きる
第8章 ヘッジファンドの進化
第9章 リスク・コントロール

著者情報
大井 幸子(オオイ サチコ)
1981年、慶応大学法学部政治学科卒業。83年、同大学院経済学研究科修士号取得。85年からフルブライト奨学生としてアメリカのスミス・カレッジとジョンズ・ホプキンズ大学院高等国際問題研究所に留学。87年、慶応大学大学院経済学研究科博士課程修了後、明治生命保険国際投資部勤務。89年、格付け機関ムーディーズ社へ転職。以後ニューヨークのリーマン・ブラザーズ、キダー・ピーボディにて債権調査・セールスを担当。2001年4月、Strategic Alternative Investment Logistics(SAIL),LLCをニューヨークに設立。現在、同社マネージング・ディレクター

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