最近、この手の主張をする人をちらほら見かけます。『諸君!』や『正論』あたりに出てくる一部の学者の主張を鵜呑みにしたものだと思われます。要は、自分たちに(日本国に有利な?!)有利な主張をかってに捏造したような代物です。歴史を勝手に偽造していると言ってもいいようなものです。公職にあるものがこのような主張を鵜呑みにして自説にしちゃあいけないのはいうまでもないと思います。「歴史を勝手に偽造」という言葉が強すぎるなら、十分に検証されていない主張、とでも言い換えても良いですが。自分たちが歩んできた歴史を真正面からみることができない臆病者、ないしは、姑息な感じ・印象を私は受けます。
「日米開戦についても「米国によって慎重に仕掛けられた罠(わな)」と定義した。」--仮にこれが真実なら、日本の帝国軍隊がよっぽどマヌケな軍隊であった、ということになって(実際、冷静に世界情勢を分析できていなかった、という面はあります)、戦死した軍人や戦争で路頭に迷った日本人は、どういうことになるのだろう?! (帝国軍隊を冒涜するのか?! ということにもなります。もちろん、私はそういう立場はとりませんが)また、戦争被害を被った近隣諸国も黙っていはないでしょう。お粗末というか、害あって一利無しの論文だと思います。
軍人が勝手な主張をするのも問題です。シビリアンコントロールを蔑ろ(ないがしろ)にする危険な兆候でもあると思います。戦前、軍部が暴走して(満州での関東軍の制御ができなくなった)テロやクーデターを繰り返し、政党政治を事実上できなくしたのも思い起こしておくべきでしょう。
<航空幕僚長>「侵略国家はぬれぎぬ」と論文発表、更迭へ
10月31日21時18分配信 毎日新聞航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長(60)が、日本の過去の戦争をめぐって「我が国が侵略国家というのは濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だ」と主張する論文を執筆していたことが31日、分かった。侵略と植民地支配を謝罪した95年の「村山談話」などの政府見解を大きく逸脱する内容。集団的自衛権の行使を禁ずる憲法解釈などを「東京裁判のマインドコントロール」とも位置づけており、事態を重視した浜田靖一防衛相は31日夜、田母神空幕長を更迭する意向を固めた。
論文は「日本は侵略国家であったのか」と題し、総合都市開発「アパグループ」の懸賞論文「真の近現代史観」に応募。最優秀賞を受賞し、31日にインターネット上などで英訳とともに公表された。
日中戦争については「我が国は蒋介石により戦争に引きずり込まれた被害者」と指摘しながら、旧満州や朝鮮半島が「日本政府と日本軍の努力によって、それまでの圧政から解放され、生活水準も格段に向上した」と植民地支配を正当化。そのうえで「多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価している。我が国が侵略国家だったなどというのは正にぬれぎぬだ」と結論づけている。
日米開戦についても「米国によって慎重に仕掛けられた罠(わな)」と定義した。
さらに自衛隊のあり方をめぐり、集団的自衛権行使、武器使用の制限を挙げ、「自衛隊は雁字搦(がんじがら)めで身動きできない。マインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない」と記している。
麻生太郎首相は村山談話と、戦後60年に改めて謝罪した05年の「小泉談話」を踏襲する方針を示している。これらの談話をほぼ否定する論文にはアジア諸国や与野党からの批判が予想される。
首相は31日夜、記者団に「読んでいないが、立場が立場だから適切でない」と不快感を示した。【松尾良】
戦前の帝国陸海軍でのいじめもひどかったが、その「伝統」が引き継がれているのだろうか。軍隊というのは、人殺しの訓練をするのだから相当のストレスが伴うのだろうが、これが私の自衛隊感でもあるが、それにしても自殺者が相当数にのぼるということは、近代的な組織とはほど遠い相当ひどい環境に放置されているのであろう。自衛隊は、自分たちで自殺者をなんとか出さない組織にできないでいるのだから、上から下まで腐りきった組織になっているのだろう。女性自衛官に対するセクハラもあって裁判になっているし、問題が多し。徴兵制度になっていないのが唯一の救いか。お隣の韓国は、徴兵制度があって、ここでもひどいいじめがあると報道されているのを読んだことがある。
海自3曹自殺で賠償命令 国に350万、福岡高裁:北海道新聞
海自3曹自殺で賠償命令 国に350万、福岡高裁(08/25 14:15)
海上自衛隊佐世保基地(長崎県佐世保市)の護衛艦さわぎりの艦内で1999年、男性3等海曹=当時(21)=が自殺したのは上司のいじめが原因として、宮崎市の両親が国に2000万円の賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は25日、請求を棄却した1審長崎地裁佐世保支部判決を変更、350万円の支払いを命じた。
判決理由で牧弘二裁判長は「3曹はうつ病が原因で自殺した」と判断。「うつ病の原因は上司の侮辱的言動によるストレス」と指摘し、上司の行為と自殺の因果関係を認めた。いじめの存在は否定した。
控訴審で高裁は両親側の申し立てを認め、3曹の勤務調査表や班長が3曹の職務状況を記した手帳、海自が作成した事故調査結果の一部について国に開示を命令した。
判決によると、3曹は99年11月8日、四国沖で演習中の艦内で首つり自殺した。
2005年6月の1審判決は「上司の言動は指導の範囲内。技術習得の遅れに焦り、精神的疲労を募らせたためと推察される」と自殺の原因を判断していた。