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著者/訳者名 ベンジャミン・フルフォード/著
出版社名 青春出版社 (ISBN:978-4-413-03720-4)
発行年月 2009年07月
サイズ 208P 20cm
価格 1,575円(税込)

 ベンジャミン・フルフォードの本を読むのは、この本で2冊目です。題名がいかにもおどろおどろしいものですが、読んでみみれば、真っ当な本だと思います。

 ちょうど1年前頃、バラク・オバマが大統領に当選したのではないだろうか。フレッシュなリーダーとして登場したわけだけど、結局のところ、どうなのだろう? めざましい活躍はしていないように思う。アメリカの陸軍基地で軍医が銃を乱射した事件があった。この犯人も、ある意味犠牲者だ。イラクやアフガニスタンでの軍事行動がいっこうに止む気配がない。思い切って手を引く手だってあったと思うのだけど、それをオバマはやらなかった。やはり、従来の政治状況を踏襲しているとしか思えない。「チェンジ」は、やはりなかったと言えるのじゃなかろうか。

 アメリカ大統領がどのようにして作られていくのかをこの本は書かれている。外交問題評議会(CFR)を中心に、ある一部の勢力によって選抜された人物が、大統領になっていく。一応、形式的には、アメリカ国民の選挙によって選ばれたかたちは取っているものの、結局は、有力者の意志が働いているというわけだ。草の根で膨大な選挙資金を集めた、といわれているが、集めたのは選挙資金の4分の1であって、残りの4分の3は、有力者から集めている。報道で言われているのは、偏った情報である。そのことが詳しく書かれている。

 オバマが「イスラエル国家の建設は正当なことです」(P46)と語ったと書かれている。これも従来の大統領と大してかわりはありません。

 ゴールドマンサックス系(ガイトナー)の人物を財務長官に据え、ブッシュ政権時代のゲイツを留任させて国防長官に据え、また親イスラエル派のタカ派であるヒラリー・クリントンを国務長官にしているようじゃあ、金融政策も外交政策も「チェンジ」はあり得ない!

 倒産しかかった大企業や金融機関に彼の試算で「17兆ドルも投入(P56)」とある。AIG は、巨大だからつぶせないという論理に裏があって、実は、ゴールドマンサックスへカネが流れる仕組みがある。歴代の財務長官を送り出すゴールドマンサックス。このように有力企業に有利に働くからくりがあるのだ。

 アメリカの失業対策を解決するための政策に対する予算は、AIG1社の救済に投じられた額よりも少ないのだ(P96)。グリーン・ニューディール政策が注目されているが、金額からみてバランスよく判断しないとメディアにだまされるいい例だ。

 CIAとアヘン・ヘロイン・ビジネスとの関係も書かれていて(P149以降)、これらを読んでいると、アメリカという国は実にクレージーな国だと思う。アメリカというのは、お節介にもいろいろ自国に気にくわない国にイチャモンを付ける。言論でするならまだしも、CIAをつうじて裏工作を図る。その場合、裏工作であるがゆえに正当な資金を議会を通して得られるわけがない。そこで、麻薬ビジネスの登場だ。例えば、アフガニスタンで今も麻薬の原料が栽培されているが、これを指導したのがCIAだといわれている。95%の上前をはねて工作資金にしている。

 アメリカ各州の財政状態は、カリフォルニア州の破産宣言に見られるようにひどいものだ。連邦政府が税金を湯水のように戦争や大企業救済に使い各州にまわってこない。暴動が起こるかもしれないといわれていて、軍隊が鎮圧するための訓練まで行っている。また、テキサス州のように連邦から独立する動きも出ている。アメリカの連邦憲法には、州が独立できる規定(合衆国憲法第10条)まであるからだ。 Read the rest of this entry »

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著者/訳者名 ベンジャミン・フルフォード/著
出版社名 青春出版社 (ISBN:978-4-413-03698-6)
発行年月 2009年01月
サイズ 204P 20cm

 訳者が書かれていませんので、著者は日本語で執筆しているものと思われます。インターネットで調べてみましたが、たくさん本を出しています。そのたくさんの本の中の一冊『アメリカが隠し続ける金融危機の真実』を読んでみました。更に、気になって 古歩道ベンジャミン も読んでみました。

 第1章は、リーマン・ショック以来、これまで読んできた金融恐慌のいろいろな本のダイジェスト版のような感じで、コンパクトにまとまっているように思いました。リーマン・ショック以来明らかになった金融腐敗を知るにはいい本かもしれません。

 第3章。「外交問題評議会」などのシンクタンクなどは、田中宇や広瀬隆等も触れる。著者・ベンジャミン・フルフォードも触れている。彼らに共通しているのは、英語に堪能なことだ。英語に堪能なジャーナリストとしての「常識」として、民主主義の時代にあっても、むしろそういう時代だからこそ一部の人間がこの世の中、もっと的を絞れば、金融の世界では、それを動かす人々がいるということを指摘するわけだ。

 「アングロサクソンについていけば安心だ」と公言していた外交官(岡崎久彦)がいたが、この世界が今経験している世界恐慌を目の前にして、まだそういうことを公言できるのか? と考えてしまう。そのような人間達が日本を動かしてきた事実。そしてそれに従ってきたが故に日本がガタガタになってしまった事実。物事を浅いところでしか考えてこなかった指導者に率いられてきた日本。アメリカの「年次改革要望書」に従って規制緩和してきた結果、ガタガタになった日本。旧日本長期信用銀行が、アメリカの投資ファンド、リップルウッド(ティモシー・コリンズ)に買いたたかれる経緯が書かれていて、これを読んでみると、日本が如何にマヌケでお人好しなのかということがわかります。 Read the rest of this entry »

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