1103003702.jpg著者 小出裕章/著
出版社名 創史社
発行年月 2010年12月
サイズ 157P 19cm
販売価格 1,470円

 原子力発電関係の問題を扱った専門書を読むと、普段テレビ等のマスコミを通して受け取っている情報と大きな違いがあるのに驚かされます。今回の東日本大震災(2011/03/11)による大津波で福島第一原子力発電所の大事故が起き、安全神話が大きく崩れ去った現在、もう一度何が真実か考え直さねばならない時期に来ていると思います。

 端的に言えば、我々国民は、電力会社、国(政府)、そして電力会社から莫大なCM料を受け取っているテレビ会社、そのテレビに出てくる原子力関連の御用学者・評論家にだまされていた、と言わねばならないでしょう。

 「5重のガードで守られている原子力発電所」が大津波によって、いとも簡単に冷却電源を奪われ、制御不能に陥り、現場の発電所職員を退避させる事まで言いだしていた無責任な電力会社の対応をもう一度思い起こすべきでしょう。菅・総理が、それに対して反対(恫喝)したからこそ、電力会社職員が発電所にとどまり続け何とか原子力発電所の制御を回復しつつあるのだということを思い起こすべきです。

 国策で原子力の発電所や使い終えた燃料の再処理工場まで作っているのは、原子力の軍事技術を自前で確保したいからだと思います。しかしながら、その目論見も、今回の原発事故によって大きなしっぺがいしを被ったと言わねばなりません。大地震国で原発は無理です。リスクが高すぎます。そして、ウラン燃料を使い終えた時の死の灰の処理をどうするのか、そもそもその技術が確立されていません。原子力利用は、「トイレのないマンション」にたとえられます。耐用年数を過ぎた原発の後始末も大変だしウラン燃料の再処理施設の放射能も、これまた桁違いに危険だといわれています。

 原子力の発電所で使われているウラン燃料の内、実際に電気に変換されるのは33%程度だと言われています。残りの67%は、海に流される冷却水によって捨てられています。単に捨てられるのでなく、暖められて捨てられていますから、海の生態系や気候変動にも大影響を与えています。

 今までのように、贅沢に電力を使う時代は終わりを告げたと思います。節電しつつ、原子力発電でなく最新式の効率のよい火力発電に移行すべきのようです。都会の近くに立地して効率を80%まで上げたものを設置すべきです。事故が起こっても、放射能は飛び散ることはありません。今回の事故のように、住民に莫大な補償を払うことも必要ないでしょう。

 この本を読んでいて思ったのですが、あの「計画停電」は、東京電力がわざと仕掛けたのではないかという疑いを私は持っています。既存の使っていない火力発電所を稼働させれば、相当なところまで原子力発電所の発電量をおぎなえると、この本には書かれています。原子力発電を今後も続けたい東電が一芝居うった可能性が大きいと私は推測しています。

 国民は、もうだまされてはいけません。専門書を読んで少しでも原子力に頼らない賢い国民にならねばなりません。

目  次
被曝の影響と恐ろしさ
核の本質は環境破壊と生命の危険
原子力とプルトニウムにかけた夢
日本が進める核開発
原子力発電自体の危険さ
歪められた二酸化炭素地球温暖化説
死の灰を生み続ける原発は最悪
温暖化と二酸化炭素の因果関係
原子力からは簡単に足を洗える
核を巡る不公正な世界
再処理工場が抱える膨大な危険
エネルギーと不公平社会

著者情報
小出 裕章(こいで ひろあき)
1949年東京生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒、同大学院修了。1974年に京都大学原子炉実験所助手になる。2007年4月から教員の呼称が変わり、現在は助教。専門は放射線計測、原子力安全。伊方原発訴訟住民側証人
追記 2011/05/15
著者の小出裕章さんが講演をされています。

講演:脱原発、京大・小出裕章さん「生き物と放射線、相いれない」 /京都 (毎日新聞) – Yahoo!ニュース

毎日新聞 5月15日(日)14時6分配信
 ◇低線量でも被ばくのリスク
 京都大原子炉実験所助教(原子核工学)の小出裕章さんが14日、京都市左京区の百万遍知恩寺瑞林院で講演した。市民団体「まちカフェ京都」が「原子力ってホントにいるの」と題して主催。定員を超える約150人が集まり、「脱原発」の必要を語り合った。【太田裕之】
 小出さんは米科学アカデミーの委員会報告(05年6月)などを基に「どんなに低線量でも被ばくのリスクはある」と指摘。「生き物と放射線は相いれない。(一般人の人工被ばく年間限度)1ミリシーベルトは我慢しろと決められたもので、安全を意味しない」と強調した。
 日本の原発推進について「東京電力も関西電力も自社の給電範囲には原発を作れず、過疎地に押し付けてきた」などと批判。東電福島第1原発事故を「四つの炉で同時進行という人類が経験したことのない事態」と評し、「我々にも原子力をここまで進めさせた責任がある」と述べた。
 赤ん坊の放射線感受性は成人の4倍と指摘して「今なすべきことは子供を守ること」と強調。子供の屋外活動制限基準の年間20ミリシーベルトについて「私は許せない。戦時中のような疎開の必要性を真剣に考えている」と語った。
 参加者も活発に意見を述べ、小学生の子がいる母親らからは「給食にも適用される暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)は安全か」「京都では雨に打たれても安全か」などの質問が相次いだ。
 小出さんは「被ばくで大丈夫・安全との説明は間違っている。我慢しなければいけない状況ということ」と回答。一方で「汚染地の農業を支えるため、大人が食べればいい。『この食品は60歳以上』と表示するなど、子供には汚染の低いものだけを食べさせる仕組みを作らねばならない」と提案した。
 小出さんはまた、原発以外の発電設備能力や最大電力需要量のデータを基に「私たちが決断すれば全原発を即刻やめても困らない」と話し、「福島の事故後になお国内で二十数基の原発が動き、それを国民が支持することに絶望しかけている」とも吐露。参加者から「定期点検に入った原発に運転再開を許さない運動もある」などと励ます声も上がった。

5月15日朝刊



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