著者/訳者名 ビル・エモット/著 伏見威蕃/訳
出版社名 日本経済新聞出版社 (ISBN:978-4-532-35313-1)
発行年月 2008年06月
サイズ 401P 20cm
価格 1,890円(税込)
読み応えのある本です。例えば、北朝鮮の金正日の重病説(脳卒中?)がつい最近報道されていますが、彼がもし亡くなった場合、どういうことが起こるか、考えたことがあるだろうか。大混乱が起こる可能性は高い。一番影響があるのは韓国だから、韓国の報道は、金正日が回復しつつあると報道しているが、アメリカ当局者はそのようには見ていない。当然日本にも大きな影響があるだろう。P314 あたりに書かれているので、それを参考にいろいろ考えてみるのは、いまだからこそなおさら重要だろう。
北京オリンピック前のチベット問題に対する抗議行動が盛んに行われていましたが、そもそも「チベット問題」とはいかなるものなのか、ということも書かれています。「2007年に中国政府が、チベットの高僧の転生すべてを政府が取り仕切るというあらたな規制をもうけた P296」と書かれていいるが、どうなんだろう、私はあ然としてしまいました。中国に宗教の自由はない、といってしまえばそれまでだが、チベットの人達は納得いかないだろう。こういう事実を一つ一つ知っていけば知っていくほど、中国の矛盾を感じられるわけです。もちろん、日本についても書かれています。
中国とインドは、1962年、国境をめぐって紛争が起こった。国境問題も書かれていて、歴史的にも複雑であるが、分かり易く書かれている。もちろん、日中間にも尖閣諸島をめぐる問題で、中国側は自国の領土だと主張している。
本の内容
21世紀の主導権と巨大な権益を巡り、三つどもえの争いを繰り広げるアジア3大国 中国、インド、日本。かつて一度も、アジアで強国が3カ国も共存したことはない。この混迷の時代を、世界とアジアはどう乗り切るべきか?3大国の均衡状態が崩れるとき、グローバル経済と国際政治に何が起きるのか?アメリカに対抗しうる大国の地位を、アジアの一国が手に入れるとき、世界はどう揺れ動くのか?国家戦略を現地取材から描き出し、21世紀アジアの巨大な可能性と、その裏に潜むリスクを解説。大ベストセラー『日はまた昇る』の著者が満を持して放つ最新作。
目 次
第1章 アジアの新パワー・ゲーム
第2章 アジア創造
第3章 中国 世界の中心の国、問題の中心
第4章 日本 パワフル、脆弱、老齢化
第5章 インド 数が多く、ごたまぜで、勢いに乗っている
第6章 環境問題 中国・インドの成長の壁
第7章 横たわる歴史問題
第8章 発火点と危険地帯
第9章 アジアのドラマ
著者情報
エモット,ビル(Emmott,Bill)
ジャーナリスト。1956年イギリス生まれ。80年に英「エコノミスト」誌ブリュッセル支局に参加。ロンドンでの同誌経済担当記者を経て83年に来日、東京支局長としてアジアを担当。86年に金融担当部長として帰国、その後ビジネス部門編集長となり、1993‐2006年、同誌編集長を務める
伏見 威蕃(フシミ イワン)
翻訳家。1951年生まれ、早稲田大学商学部卒。トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』では、訳文の完成度の高さを評価されて第1回国際理解促進図書・優秀賞を受賞
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