この記事を読んだ印象では、世界中にウイルスその他が蔓延しているので、マイクロソフトとしても無料で配布しなければとんでもない状況になる、なっているという状況認識なのでしょう。歓迎といえば歓迎なのですが、これによって、サードパーティーのウイルス事業に影響も大いにあるでしょう。事業が立ち行かなくなるようになれば、切磋琢磨していたこの分野が衰えることも考えられます。そうなれば、ユーザーの利益にもならないことが考えられます。メリットもデメリットもあるように思われます。
米Microsoftが来年にも無料のマルウェア対策機能を提供開始
米Microsoftは18日、2009年後半にもコードネーム「Morro」と呼ばれるマルウェア対策機能を無料で提供することを発表した。
これに伴い、現在提供している「Windows Live OneCare」サービスは、2009年6月30日で販売を終了する。なお、同サービスの利用者は、サブスクリプション期間が終わるまで利用し続けることができる。
「Morro」では、核となるマルウェア対策機能のみが提供され、Windows Live OneCareで提供していたパフォーマンス向上ツールやデフラグ、バックアップ復元ツールなどの機能は含まれない。
機能としては、ウイルス、スパイウェア、ルートキット、トロイの木馬からシステムを保護することを目的とする。特に、帯域幅の狭い低速回線、非力なPCが使用される場合を想定し、小さなフットプリントと、少ないコンピューティングリソースで動作するように設計される。マルウェア対策エンジンには、Microsoftがすでにセキュリティ製品に採用しているものと同じエンジンが利用される。
Microsoftでは、こうした機能を無料で提供することにした理由として、先進国の60%以上の利用者と新興国の多くの利用者が、最新版のセキュリティ保護機能をPCに装備していないことを挙げた。特に新興国では、セキュリティソリューションのコストとハードウェアの制約により、十分なセキュリティが確保できていないと指摘。ブラジル、インド、中国といった多数の利用者がいる新興国では、クレジットカードでサービスを更新するといった支払い方法を採用できないため、サービスを利用できず、マルウェア対策が十分にできていないとした。
さらに、無料の試用版ソフトがインストールされていることによって、ユーザーはPCが保護されているのかどうかわからなくなったり、サブスクリプションを更新しなければならないときには、それを引き延ばしてしまったりすることによって、結果的に最新版の保護サービスを受けられないこともあるとした。
いずれにせよ、こうした理由でマルウェア対策ができていない現状がある以上、Microsoftが無料で核となるマルウェア保護機能を提供することが重要だと判断された。
Morroは、スタンドアロンダウンロードとして提供され、Windows 7/Vista/XPに対応する。Windowsのセキュリティとプライバシーを強化するとともに、Internet Explorerと同時に利用することによって、強固で無料のセキュリティソリューションとして、主要なインターネット上の脅威からユーザーを保護できるようになる。
またこれに伴って、リテール販売が中止されるWindows Live OneCareに関しては、購読期間内は現時点と同じ水準のサービスが提供される。購読期間が過ぎた後には、サードパーティーのセキュリティプロバイダーが提供する、複数のセキュリティーソリューションに移行するオプションが提示される。また、大企業向けのアンチマルウェアソリューションについては、引き続き提供されるとしている。
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