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著者/訳者名 浜矩子/著
出版社名 岩波書店 (ISBN:978-4-00-431168-3)
発行年月 2009年01月
サイズ 198P 18cm
価格 735円(税込)

 去年9月15日のリーマン・ショック以来、10ヶ月という時が流れましたが、一部では、この秋(2009年秋)第二の金融危機が訪れるのではないかと囁かれています。 AIG とか citi グループだとかが危ないとかいわれています。

 一方、日本のテレビとか新聞では、面だって危機については触れられていないように思います。何か、私には、真実が「伏せられている」感じがしてなりません。テレビに出てくるような専門家も、知っているのだがそれに触れない、というような感じがしてなりません。

 そもそも、今回の世界同時不況を本など読んで調べてみてみると、1年やそこらで回復する規模ではないことがわかります。日本の GDP の規模を数倍にもした規模のマネーが動き、それが危ないのだから、アメリカ政府が不良債権を買い取ったり、資本注入をやったりしてもそう簡単に解決できる規模ではありません。しかも、アメリカ政府に財政的な余裕があるわけもない状態だし。

 危機意識を表に出して騒いでいる中国政府をみていると、真っ当な危機意識だと思います。アメリカ国債を大量に保有している中国としては当然なものでしょう。日本も、国家予算に匹敵する額を保有し、中国と同じくらいのアメリカ国債を保有しているはずです。

 第二の金融危機が起こると、アメリカ当局は、ドルをマス・プリントして対処するのでしょうが、そんなことをすれば、インフレーションは激しいものになるでしょう。アメリカ国債は紙くず同然になり、基軸通貨のドルは崩壊し円高は更に昂進するでしょう。世界経済は、更なる混迷に突入するでしょう。管理通貨制度のもとの恐慌。基軸通貨の崩壊。何らかの新しい制度が必要になってくるでしょうから、真剣に第二ブレトンウッズ体制を考えなければなりません。

 この本は。リーマン・ショック以後、急きょ出版が決まった本のようで、著者に危機意識がある状態で書かれているのが、かえって良かったのではないでしょうか。今のような中だるみの時に書くと、また違った内容になったかもしれませんので、危機意識がある時の出版で良かったと思います。

 著者は、今回の危機に対して「古典的恐慌としての条件が十分に備わっている」と言い、更に「これまでの恐慌現象には全く見られなかった特性が備わっている」といって論を展開していきます。後者の論点は、

  • 世界同時多発的に進行している
  • モノとカネが決別する構図の中で展開
  • 管理通貨制度の下で発生

本の内容
アメリカのサブプライム危機は、金融市場を麻痺させ、全世界を震撼させている。現在の経済収縮は、金融危機の段階を超え、世界規模の「恐慌」へと歩みを進めているのではないか。危機拡大の要因を解説しながら、事態の意味、世界同時不況のゆくえについて考察。金融の暴走をもたらしたグローバル経済を変革する必要性を強く訴える。

目  次
はじめに 恐れ慌てる世界
第1章 何がどうしてこうなった
第2章 なぜ我々はここにいるのか
第3章 地球大の集中治療室
第4章 恐慌を考える
第5章 そして、今を考える
おわりに 金融暴走時代の向こう側

著者情報
浜 矩子(ハマ ノリコ)
1952年生まれ。一橋大学経済学部卒。三菱総合研究所を経て、同志社大学大学院ビジネス研究科教授。専攻はマクロ経済分析、国際経済



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