haisennogakusetsu.jpg『敗戦の逆説 戦後日本はどうつくられたか』ちくま新書193
著者 進藤栄一/著
出版社名 筑摩書房
発行年月 1999年04月
販売価格 693円

 進藤栄一の本を読むのは初めてです。
 日本の敗戦(1945年8月)よりずっと前に日本占領計画は練られていました。ただ、アメリカ人にもいろいろな考えを持った人物がいて、改革派や旧守派達のせめぎ合いでいろいろ変更もあって、それらが占領直後から適応されていった。その過程を詳しくたどっていったのが本書です。詳しくたどっていったといっても新書版の制約はありますが。私のような素人が「その過程」を読み進めるには、忍耐が必要でした。読んでいて1つ気になったのは、「市民主義」という言葉が何回か出てくるのですが、この本の中で詳しくは論じられていません。戦前の日本国民を「臣民」というとらえ方をしているので、戦後は占領政策で国民は主体性と自由を持った欧米のような「市民」に変革しようとしたのだがそれが不十分だった、というのが著者の認識のようですので、もっと徹底したかたちでの「市民」を想定して「市民主義」ということを言いたかったのかもしれません。加藤典洋の『敗戦後論』(1997年)なんかを想定して論を進めているのかもしれません(加藤典洋の『敗戦後論』をまだ読んでいないので推測です)。また、野口悠紀夫の『1940年体制』の1940年体制論を批判する注目の章もあります。読んだ感想では、野口の論はインチキっぽいような印象を持ちました。詳細には、もちろん検討が必要です。



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