バブル崩壊後、とりわけ21世紀に入って、時代が、生活環境が、がらりと変わったと感じている人は多いと思います。1億総中流意識から格差の拡大によって、儲けている人は、ますます儲けることが出来やすくなり、底辺で生活している人は、そこからますます抜け出すことが出来ないとの実感を感じている人が多いのじゃないでしょうか。

 「何なんだ?」との思いを募らせています。理論的に学問的にその原因を探りたいと思っている人は多いでしょう。この本は、経済学からそれを探っています。このような本が待ち遠しかったと、読んでみて思いました。と同時に、経済学を本格的に勉強しなければ、世の中のことが見えなくなりつつあるとの考えも沸いてきました。まだ、一回読んだだけなので、もう一度読んでみなければ、と思ってます。二度、三度、と読む価値があるように思われる本です。

本の内容

帝国化・金融化・二極化する世界、一国単位ではもう何も見えない。1995年を境に、大航海時代にも匹敵する「世界経済システムの変革」が始まった。第一級のエコノミストが明らかにする、グローバル経済の驚くべき姿。

目  次

第1章 覆される戦後経済の常識―分水嶺となった一九九五年(日本のデフレーター、史上最長のマイナスに―デフレだと景気は回復しないのか
ルービンの「強いドルは国益」は米国の「金融帝国」化宣言―経常赤字の増加は成長の制約になるのか ほか)
第2章 重層的に二極化する世界経済―再来する帝国の時代(テイクオフの条件が整うBRICs―日本は再近代化で危機を乗り切れるか
世界経済の二極化―先進国vs.BRICs ほか)
第3章 長期循環の「超」長期化と短期循環の「超」短期化―不安定さ増す世界経済(密接不可分の関係にあるグローバル化と米国の「帝国」化
長期循環を「超」長期化させるグローバリゼーション ほか)
第4章 「大きな物語」の終わりと「バブルの物語」の始まり―ストックがフローを振り回す時代(軍需・公共投資主導経済の終わり―インフレの時代の終焉
資産価格激変の時代の始まり―金融経済が実物経済を振り回す時代 ほか)
第5章 資本の反革命における二つの選択―成長か定常状態か(誰のための、なんのための景気回復か―成長は政策目標となりえるのか
格差拡大と中流階級の没落―グローバル化の本当の脅威は雇用ではなく賃金 ほか)

 『小泉政権 「パトスの首相」は何を変えたのか』内山融(うちやま・ゆう)/著 中公新書
 小泉政権に対する評価は、人それぞれで、学者と素人(私のような)の間でも評価は分かれます。また分かれて当然だと思います。ただし、当然政治学者の意見にも耳を傾けてみる価値はありそうです。この著者は、ある面で小泉政権を評価しているわけです。私と言えば、戦後史上最悪の「ワンフレーズ」説明の首相、近隣諸国の国民感情を考慮しないで靖国神社に参拝して(公約とは言え)ことさら韓国・中国を挑発した首相、アメリカに対しては追随することしか考えていない首相、若者たちや都市新中間層をまんまとだました首相(「受け」を狙う政治手法! 「善玉」vs「悪玉」、自分 vs 抵抗勢力)、というような印象を与え続けた人だと考えています。そして、彼個人の生活では変態趣味のある人物として記憶している。

 政治学者の評価を読んで気づくのは、評価する場合の切り口が多様で、言ってみれば素人(政治学の訓練を受けていない素人)には考えつかない点も多く、学ぶべき点がある。
 著者の小泉・自民党が無党派層の支持を得た要因としてあげている点は、

  • 第一に、小泉首相が郵政民営化を単一の争点として巧妙に設定したことである。
  • 第二に、小泉は典型的なポピュリスト的選挙戦術をとった「悪玉」対「善玉」の二元論的対立構図を印象づけた。
  • 第三に、有権者が党首イメージと政権の業績評価に基づいて投票した。

と、分析している。

 これを読んだのは、ちょうど1ヶ月前で「YOSAKOIソーラン祭り」の真っ盛りの時でした。それで、祭りの興奮のだだなかで記憶が飛んでいます!! 追々感想を追加していこうと思っています。

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