著者/訳者 セルジュ・ミッシェル/著 ミッシェル・ブーレ/著 パオロ・ウッズ/写真 中平信也/訳
出版社名 河出書房新社
発行年月 2009年12月
販売価格 2,520円
アフリカ大陸は、大きく変貌しています。その要因は、本書で書かれているとおり中国が巨額の投資をアフリカ各国にしているからです。もちろん、目的は資源の獲得です。原油・銅・ウラン等。アフリカの大統領というのは、大なり小なり独裁者的要素を持っています。冷戦構造の時代では、旧ソ連もアメリカもそれに目をつぶりました。両国の代理戦争の舞台になっていたからです。しかし、冷戦が終わり、欧米は援助を受けたいなら民主主義を実現しろと要求しはじめました。しかし、中国は、この10年間内政不干渉で望んでいるので、欧米と一線を画しています。それが理由でアフリカに刺さり込みやすいのです。更に、入札をしても自国中国の安い賃金で働く労働者を大量に投入できるので、落札を勝ち取ります。
アフリカであらゆるプロジェクトをリスクを負いながら進行しています。それも、インフラ整備をしながらです。最近、テレビを観ているとアフリカ人が携帯電話を持っているのを目にしますが、これは、中国が携帯のインフラを整備したからです。携帯事業単独なら利益があがらないかもしれませんが、総合的にプロジェクトを進めているので問題ないのでしょう。
ただ、アフリカ各国で中国人が歓迎されているかというと、そうでもありません。その内容は、本書に詳しいのですが、一二例を申せば、中国企業が受注し安い賃金の中国人労働者を大量に投入するので現地の雇用に結びつかない。現地労働者を雇っても過酷な労働を強いる。中国人労働者は1週間に7日働くので、現地労働者もそれにあわせて働かせる。平気で現地労働者を殴ったりする。また、中国人商人が進出し現地人と摩擦を引き起こしている。等等、いろいろなエピソードを交えて詳しく書かれています。アフリカの今を知るにはいい本だと思います。
もう一つの変貌の要因は、アフリカの若いテクノクラートが自国のために何かできないかを考えはじめたことです。欧米や日本でビジネスのノウハウを学び、それを自国に応用しはじめているからです。これは、NHKスペシャル等で報道されているとおりです。
本の内容
すさまじい勢いでなだれ込む中国人たちの巨大な波!暗黒大陸の新たな征服が始まった。巨大公共事業をはじめ“経済的利益”という新しい視点をかざした中国の国家戦略とは? 世界秩序を揺るがす実態を取材した衝撃の緊急ルポ。
目 次
暗黒大陸のために敷かれた深紅の絨毯
“極西”を見つけた中国人
コンゴの森の中で
中国=アフリカ関係の小史
労働は中国人に 豪勢な黒人指導者たち
サハラのウラン・ラッシュ
続々と上陸する廉価品
独裁者の武器はメイド・イン・チャイナ
スーダンの征服された土地
石油が第一
新たな賭け
機関車“中国”があえぎ始める時
甘くて酸っぱい国民間の友情
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