著者 リチャード・クー/著
出版社名 徳間書店 (ISBN:978-4-19-862553-5)
発行年月 2008年06月
サイズ 326P 20cm
価格 1,785円(税込)
今まで経済に関する本、とりわけサブプライム問題に端を発する金融危機に関する本を短期間に数冊読んだが、この本は最も読み応えがあり信頼できる分析がされているのではないかと、素人ながら感じています。著者は、しきりに「バランスシート不況」ということを問題にします。これは、著者の独創的な分析のようですが、素人判断ながら説得力はものすごくあるように思いました。これからもこの著者の本は注目しなければならないと思っています。一度、同書を手にとって読んでもらいたいです。買って読んで絶対損しない本です。何か明るい展望とはいえないまでも、ちょっとしたあかりがこの世の中に見えた気がしました。それから、政治学者や政治評論家が書いた本をいくら読んでも日本の政治はわかりにくいのだが、このエコノミストが分析した日本政治は、非常に的確で説得力を感じました。竹中平蔵などの経済学者あがりの政治家が、如何に的はずれなことをしているかがリチャード・クーによって暴かれるあたりは、胸がスーとなります。更に、日銀の政策も見直しました。クー氏は、高く評価しています。
本の内容
米住宅バブル崩壊とともに噴出してきたサブプライム問題、ドル危機、食糧・資源の高騰など、いま世界が直面している危機は旧来の経済学ではまったく対応できない!バランスシート不況の分析で世界から注目を浴びるリチャード・クーが、世界大恐慌を回避するためにいま日本と世界はどう対処すべきか、明確な見取り図と処方箋を提示する。
目 次
第1章 サブプライム問題は戦後最悪の金融危機(いま世界経済が陥っている危機は大恐慌以来最悪の事態
カウンターパーティー・リスクがインターバンク市場を凍りつかせた ほか)
第2章 住宅バブル崩壊のアメリカはバランスシート不況(「大恐慌」以降、アメリカが初めて経験する住宅価格の崩落
住宅価格下落と延滞率増の悪循環に襲われる米国 ほか)
第3章 ドル危機に世界はどう対処すべきか(アメリカはドル安誘導に失敗、巨額の貿易赤字だけが残った
ドル安をめぐって金融当局と議会の立場が逆転 ほか)
第4章 日本はバランスシート不況を脱却できたか(日本を襲ったバランスシート不況は今どこまで来たか
日本企業のバランスシートは改善したが、問題点がないわけではない ほか)
第5章 日本に襲いかかるグローバリゼーションの大波(日本にとってのグローバリゼーションとは「中国の台頭」のこと
欧米が経験した試練をこれから経験する日本 ほか)
著者情報
クー,リチャード(Koo,Richard C.)
1954年、神戸市生まれ。76年カリフォルニア大学バークレー校卒業。ピアノ・メーカーに勤務した後、ジョンズ・ホプキンス大学大学院で経済学を専攻し、FRBのドクター・フェローを経て、博士課程修了。81年、米国の中央銀行であるニューヨーク連邦準備銀行に入行。国際調査部、外国局などでエコノミストとして活躍し、84年、野村総合研究所に入社。現在、研究創発センター主席研究員、チーフエコノミスト。98年から早稲田大学客員教授、99年から防衛研究所防衛戦略会議委員も務める
トラックバックURL:
https://serene.sakura.ne.jp/blog/2008/12/09/2250/255.php/trackback