著者 鄭大均/著
出版社名 文芸春秋
発行年月 2001年04月
販売価格 693円

 鄭大均氏の本を読むのは、『在日・強制連行の神話』以来二冊目です。在日の韓国人・朝鮮人に縁も縁もない日本人の私が、この本を読む目的は、ひとえに興味があるからです。いろいろな歴史的経緯もあるし、更に、この人達の心理的な葛藤を知りたかったからです。日本人には、普段ほとんど感じられない(自覚できない)感情や論理を知る上で有益だからです。この本は、非常に冷静に理性的に在日の問題を分析しているように感じました。あわせて、姜尚中氏や辛淑玉氏のような在日に対する考え方を分析する時の分析の仕方も教えてもらったような気がします。有益な本です。

本の内容
在日韓国人が日本で生活していることに深い意味や特別な意味はない。在日の一世たちは朝鮮半島よりは日本を生活の地として選択したのであり、その子孫である私たちもそれを受容しているだけのことである。つまり、在日韓国人は「永住外国人」などという宙ぶらりんな存在としてよりは、日本国籍を取得して、この社会のフル・メンバーとして生きていけばいいのであり、そのために必要なら帰化手続きの弊を指摘すればいいのである。本書は在日が存在理由をなくすために書いた本である。

目  次
第1章 アイデンティティと帰属
第2章 在日の特異な状況
第3章 帰国と帰化と在日の歴史
第4章 なぜ韓国籍を維持しているのか
第5章 説明責任の問題
第6章 永遠の外国人でいいのか

著者情報
鄭 大均(テイ タイキン)
1948年岩手県生まれ。立教大学とUCLAで学ぶ。啓明大学校外国学大学副教授(韓国大邱市)などを経て、現在東京都立大学人文学部教授。民族・国民集団間の眺め合いを研究テーマにする

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